東京都知事選挙(7月7日投開票)では、過去最多の56人が立候補している中、元航空幕僚長の田母神俊雄氏が注目を集めている。主要候補者の多くが公選法違反の疑いを持たれる中、田母神氏は唯一の「懸案材料なし」の候補者として、支持を伸ばしている。

田母神氏は25日、新宿歌舞伎町で街頭演説を行った。2014年の都知事選でも応援していたデヴィ夫人が駆けつけ、「田母神さんのように有言実行の人を東京の知事にしなければならない」とエールを送った。

ネット上での関心も高く、大手メディアでは小池百合子都知事、蓮舫氏、前広島・安芸高田市長の石丸伸二氏と並び、主要4候補として取り上げられている。

しかし、小池氏はカイロ大卒を巡る公選法違反(虚偽事項の公表)で刑事告発され、蓮舫氏も事前運動の疑いで告発されている。石丸氏も告示前のネット上での有料広告に関し、「確認団体」が関与しているとの発言で問題視されている。公職選挙法違反への監視が厳しくなっている昨今、3候補の立場は厳しい。

24日に行われた東京青年会議所主催の討論会でも、小池氏、蓮舫氏、石丸氏にはそれぞれの疑惑に関する「気まずい質問」が飛んだ。一方で田母神氏には「気まずい質問が思い浮かばなかった」との司会者の発言があり、過去の公選法違反(運動員買収)での有罪判決に言及されたが、田母神氏は既に公民権が復活していると胸を張った。

田母神氏は演説でも「私は年齢も学歴も詐称していません。国籍も日本です。本当にいい人なんです」と強調し、各候補者の騒動を逆手にとってアピールを行っいる。その結果、主要候補者の中で唯一「無傷」の存在として、徐々に支持を拡大してきた。

田母神氏は2014年以来2度目の挑戦で、「保守層の投票先がない」と感じて出馬を決意した。自衛隊での経験を活かし、防災対策の強化や道徳教育の推進を掲げる。安全保障関連の講演を月7、8回行い、体力維持のための筋力トレーニングとジョギングも欠かさない。X(旧ツイッター)では約38万人のフォロワーを持ち、若者からの支持も得ている。

都知事選の行方は、主要候補者の疑惑と田母神氏の「無傷」な立場の影響が大きく左右するだろう。