将棋の八大タイトルの一つ「棋聖戦」五番勝負の第3局が、名古屋市の「亀岳林 万松寺」で始まった。藤井聡太七冠(21)が5連覇を果たして、史上最年少で初めての永世称号「永世棋聖」を獲得するか、挑戦者の山崎隆之八段(43)が1勝を返して次局に持ち込むかが注目される。
対局の開始は午前9時、立会人の久保利明(48)が定刻を告げ、山崎八段が深々と一礼し、先手として飛車先の歩を突いて対局が始まった。藤井七冠も同様に一礼し、お茶を一口含んでから歩を突き返し、戦型は山崎八段の得意とする相掛かりとなった。定跡を離れた力戦の将棋が展開される見込みだ。
藤井七冠は昨年、タイトルを独占し「八冠」を達成したが、先月の「叡王戦」で伊藤匠七段に敗れて「七冠」に戻ったばかりである。今回の「棋聖戦」では5連覇がかかっており、防衛すれば「永世棋聖」の資格を得ることになる。現在21歳11か月の藤井七冠がこの称号を獲得すれば、1971年に中原誠十六世名人が達成した最年少記録「23歳11か月」を53年ぶりに更新することになる。
一方、山崎八段にとっては2009年の「王座戦」以来、15年ぶり2度目のタイトル挑戦であり、初めてのタイトル獲得を目指している。しかし、シリーズの対戦成績は藤井の2勝0敗と、山崎八段にとっては後がない状況だ。
対局の持ち時間は各4時間で、昼食休憩を挟み、1日夜までには勝敗が決する見通しである。注目の一戦は、藤井七冠が史上最年少での「永世棋聖」の称号を手にするか、山崎八段が意地を見せるか、全国の将棋ファンが固唾を呑んで見守っている。