第216臨時国会が28日召集された。先の衆議院選挙で自民・公明両党が衆院で過半数を失い、「少数与党」となった石破政権にとって、初の本格的な論戦の場である。会期は12月21日までの24日間で、経済政策や政治改革を巡る与野党の対立が注目される。
補正予算案と物価高対策が最優先課題
石破首相は、「国民の意見を丁寧に聴きながら、納得いただける結論を得たい」と述べ、慎重かつ丁寧な国会運営を目指す姿勢を示した。臨時国会の最重要課題は、物価高や災害対策を盛り込んだ2024年度補正予算案の成立である。この予算案の成立が石破政権の経済対策の成否を左右するが、野党の協力が必要不可欠な状況だ。
与党は補正予算案に関し、国民民主党との協議を重ねており、年収103万円の壁の引き上げを含む税制改正で合意に至っている。しかし、今後の具体的な税制改正協議の行方が補正予算の審議に影響を与える可能性もある。
政治とカネの問題が焦点に
一方、派閥裏金事件を受けた政治資金規正法の再改正も重要な争点である。石破首相は年内に改正を実現したい意向を示しているが、企業・団体献金の扱いを巡り与野党間で意見が分かれている。政権の信頼回復に向けた取り組みは進展が求められるが、調整は難航する見通しだ。
野党の足並みと戦略
与党が少数に転じたことで、野党は国会運営において重要な役割を果たす立場にある。野党第一党の立憲民主党は、「与党の下請け機関のような審議にはさせない」と強調。予算審議を通じて与党の妥協を引き出し、来年の参議院選挙に向けた存在感を高めたい考えだ。しかし、野党間の足並みは揃わず、国民民主党やれいわ新選組が野党協議を欠席するなど、結束力の課題も浮き彫りとなっている。
初の本格論戦の行方
29日には石破首相が所信表明演説を行い、各党の代表質問が続く。5日からは予算委員会での議論が始まる予定であり、野党との調整が試される重要な局面を迎える。
臨時国会は、自民・公明両党による「少数与党」のかじ取り能力と、野党の主導権争いが交錯する場となる。経済政策の進展や政治改革が実現するかどうか、国会の議論が注目される。