日本維新の会の代表選が12月1日に行われ、大阪府知事の吉村洋文氏(49)が新代表に選出された。投票総数の約8割を獲得し圧勝したが、同時に党運営や国政対応における複数の課題が浮き彫りとなった。吉村氏は「自民党に対峙し、政権交代を目指す」との意欲を示しつつも、党の基盤強化や政策立案で多忙を極める状況が続く。
三足のわらじがもたらす課題
吉村氏は新代表の役割に加え、大阪府知事、地域政党「大阪維新の会」代表としても活動している。さらに、2025年大阪・関西万博を控え、同博覧会の副会長としても責任を負う。この「三足のわらじ」に対し、党内外からは「過剰な負担で十分な対応ができないのでは」と懸念の声が上がっている。
万博に関しては、前売り券販売が目標の1400万枚に対し11月末時点で約737万枚と目標に届かず、機運醸成の遅れが指摘されている。もし収益が不足すれば、公費負担のリスクがあり、維新が掲げる「改革政党」としての立場が問われる可能性がある。
代表任期の見直しを提案
吉村氏は1日の記者会見で、代表の任期を見直す意向を示した。維新の代表任期は大型選挙の投開票日から90日後までと規定されているが、この独自のルールが党運営の効率性を損なっているとの指摘がある。吉村氏は「代表と執行部が不明確な状況で国政議論に対応できなかった」と反省し、党内のガバナンス強化に向けた改善を約束した。
対決路線への転換と課題
新代表の吉村氏は、政府・与党との対決路線を鮮明にする意向を示した。共同代表には前原誠司氏を起用し、政策経験を活かした党の再建を図る考えだ。しかし、他野党との連携については慎重な姿勢を保ち、来夏の参院選では「予備選」を実施し野党候補の一本化を目指す方針を示した。
一方で、国民民主党が衆院選で躍進し政策議論を主導する場面が増えており、維新が目指す「改革政党」としての存在感が薄れつつあるとの声もある。維新が独自の政策で国政における役割をどう示すかが今後の焦点となる。
都構想の再挑戦
吉村氏は、大阪都構想に再挑戦する意欲を表明したが、過去の住民投票ではいずれも反対多数で否決されており、実現には住民の理解を得るための民主的なプロセスが不可欠だ。党内外からは「統制のための象徴的な政策ではないか」と懐疑的な見方もある。
維新の行方を左右する万博と選挙
日本維新の会が次のステップを踏むためには、2025年大阪・関西万博の成功や来夏の参院選での成果が鍵を握る。吉村氏が複数の役割をどう両立させ、党の求心力を高めるかが問われる局面だ。
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