韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が「非常戒厳」を宣言したことをめぐり、警察などで構成される合同捜査本部は、内乱を首謀した疑いで拘束令状を執行したと15日午前10時半すぎに発表した。韓国で現職の大統領が拘束されるのは初めてのことである。
拘束に至る経緯
合同捜査本部は、今月3日にも令状執行を試みたが、大統領警護庁の関係者らによって阻まれた。このため15日には捜査員約1000人を投入し、午前4時半ごろからソウル市内の大統領公邸前で拘束令状を提示。警護庁側の反発を受けつつも、午前7時半ごろにはしごを用いて敷地内に侵入した。
捜査本部の発表によれば、物理的な衝突はなく、午前10時半すぎに拘束令状を正式に執行したとしている。
ユン大統領の動向
複数の韓国メディアは、午前10時半すぎにユン大統領を乗せたとみられる車列が大統領公邸を出発し、公共放送KBSの映像では午前11時前に合同捜査本部が入る「高位公職者犯罪捜査庁」の庁舎に到着した様子が確認された。映像には、ユン大統領とみられる人物が車両から降りる姿も映し出されている。
ユン大統領のコメント
ユン大統領は拘束直前に動画でコメントを発表し、「無効な拘束令状による手続きを嘆かわしく思う。不法な捜査ではあるが、流血の事態を避けるため出頭に応じる。ただし、この捜査を認めるものではない」と述べた。
今後の焦点
合同捜査本部は、令状執行に先立ちユン大統領側と調整を行ってきたが、自主的な出頭は想定していないと強調していた。捜査の進展や裁判手続きの行方に注目が集まるとともに、警護庁側の対応が引き続き焦点となる見通しである。
今回の拘束は、韓国国内外で大きな波紋を呼ぶ可能性があり、今後の政局にどのような影響を与えるのか注目されている。