日本政府は12日、米国が鉄鋼・アルミニウム製品に25%の追加関税を課す方針について、日本を対象から除外するよう米政府に申し入れた。トランプ政権は3月12日から関税を発動する予定であり、日本政府は発動までの約1か月間で交渉を進める方針だ。
石破首相は12日の参院本会議で「措置の内容や日本への影響を十分に精査しつつ、対象からの除外を米国に働きかけるなど、必要な対応を行う」と述べた。また、8日(現地時間7日)に行われた日米首脳会談では、関税問題について正式な議論はなかったという。林官房長官によると、日本政府は12日(現地時間11日)、在米大使館を通じて米政府に正式な申し入れを行った。
企業への影響を緩和する支援策
政府は日本企業への影響を軽減するための措置も発表した。武藤経済産業相は12日の記者会見で、関税の影響で米企業との契約が破談となった場合、政府が全額出資する「日本貿易保険」(NEXI)から保険金を支払う方針を明らかにした。米国の関税措置を、戦争や災害と同様に企業努力では防げない「非常危険」と位置づけ、損失の一部を補償する考えだ。
トランプ大統領「例外なし」と強調
一方、トランプ大統領は「鉄鋼とアルミニウムに25%の関税を課す。例外や免除はなく、一律で適用する」と明言しており、日本が除外される可能性は不透明だ。これまで関税免除の対象となっていた国・地域への特例措置も廃止されるが、オーストラリアについては例外措置を検討する考えを示している。
欧州連合(EU)はこれまで例外措置の適用を受けてきたが、欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長は「企業や消費者に悪影響を及ぼす。不当な関税には断固とした対抗措置を講じる」との声明を発表し、対抗策を示唆した。
日本企業の対米投資が相次ぐ
日本企業の中には、米国への投資を加速させる動きも出ている。いすゞ自動車は12日、米サウスカロライナ州に新たな生産拠点を設立する計画を発表。総投資額は約430億円で、700人以上の雇用を創出し、2年後の稼働を目指す。
また、ソフトバンクグループは、米オープンAIに対し先月15億ドル(約2300億円)を追加出資したと明らかにした。
日本製鉄の幹部も12日に渡米し、米USスチールの買収計画を巡る協議を進めている。トランプ大統領との面会が来週以降に予定されていると報じられており、日本製鉄が関税問題について何らかの交渉を行う可能性もある。
今後の展開
日本政府は引き続き、米国との交渉を進め、関税適用の除外を求める方針だ。しかし、トランプ大統領が「例外なし」と明言していることから、交渉の行方は予断を許さない。日本企業は影響を最小限に抑えるための対策を模索しており、今後の政府の対応が注目される。