政府は、コメの価格高騰および流通の滞りを背景に、備蓄米21万トンを市場に放出する方針を決定した。江藤農林水産大臣は、14日の閣議後記者会見において、「流通が滞っている状況を何としても改善したい」という強い決意を示し、本措置の実施を表明した。
放出の背景と目的
2024年産のコメは前年より18万トン増産される見込みであるが、一方で、JAなど主要な集荷業者が農家から買い集めた量は、前年度に比べ21万トン少ない状況にある。この流通の目詰まりが、コメの市場価格に影響を及ぼしていると判断され、政府は備蓄米の放出を通じ、円滑な流通環境の整備および国民生活の安定を図ることを目的としている。
具体的な放出内容と手続き
政府は、備蓄米の初回放出量を15万トンと定め、残りの6万トンは市場の流通状況を見極めた上で追加する方針である。売り渡しは入札方式により行われ、対象となるのは令和6年産米を中心に、5年産米も含む。なお、過度な米価の下落を防止するため、売り渡した集荷業者から原則として1年以内に同量を政府が買い戻す条件が設定される。
江藤大臣は、「今回の備蓄米の売り渡しがコメの流通の円滑化や国民生活の安定に資するよう、迅速に手続きを進めていく」と述べた。
放出時期と今後の対応
入札は3月初めに開始され、3月末頃には小売店の店頭にコメが並ぶ見通しである。江藤大臣は、初回放出後も流通状況を注視し、必要に応じて放出量の拡大を検討する考えを示している。
今回の政策転換は、コメの高騰が家計に直撃する中で、市場における流通の改善と価格の安定を狙ったものである。政府は今後も、状況に応じた柔軟な対応を図り、国民生活への影響を最小限に抑えるための施策を講じる方針である。