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予算案修正めぐる攻防激化「103万円の壁」で合意至らず

2025年度予算案の修正をめぐり、与党は立憲民主党、国民民主党と個別協議を継続している。日本維新の会が予算案への賛成を表明したことで、与党内には「ひと山越えた」との安堵感が広がる一方、立憲民主、国民民主両党は自身の修正要求が反映されないことに不満を強めている。予算案の衆院採決を前に、与野党の駆け引きは大詰めを迎えている。

「103万円の壁」見直しで合意に至らず

自民・公明両党は26日、国民民主党との税制協議を行い、「年収103万円の壁」の見直しについて、所得税の非課税枠を上乗せする案を改めて提示した。しかし、国民民主党はこの案を受け入れず、協議は物別れに終わった。自公両党はこの案をもとに税制関連法案の修正を進める方針であり、3党間の税制協議はいったん終了する見通しである。

国民民主党の古川元久税調会長は「予算が通るからいいという発想では、国民から厳しい判断を受けるだろう」と自民党の対応を批判した。

立憲民主党は高額療養費制度の見直しを要求

一方、立憲民主党は26日、自民・公明両党に対し、「高額療養費制度」の負担上限額引き上げを全面的に凍結するよう強く求めた。これに対し、与党内では長期治療を受ける患者の負担を据え置くため、すでに当初の方針を修正していることから、全面凍結は困難との意見が多い。

しかし、予算審議の協力を得るためには、立憲民主党の修正案の一部を取り入れるべきだという声も上がっており、今後の協議の行方が注目される。

予算案成立の見通しと野党の反発

予算案は、日本維新の会が自公両党と教育無償化の具体策で合意し、賛成を表明したことで成立する見通しとなった。しかし、立憲民主党内では焦りが広がっており、修正案に盛り込んだ政策を巡って政府を追及する動きが活発化している。

立憲民主党の本庄知史氏は26日の衆院予算委員会で、「目の前の予算案を通したい一心で、中途半端な合意を結んだのではないか」と、自公維新3党の合意文書について財源の不明確さを指摘。石破茂首相に対し、さらなる説明を求めた。

これに対し、自民党幹部は「立民は予算案に賛成しない以上、回答にも限界がある」とし、修正協議の余地は限られているとの立場を示した。

参考人聴取と採決の見通し

27日には、自民党旧安倍派の会計責任者に対する参考人聴取が東京都内で行われる。野党が求めていた聴取が実現することで、与党は「採決に向けた環境が整いつつある」との認識を示しており、来週初めにも予算案を衆議院で通過させる考えである。

ただ、与党は少数与党の状況が続く中、法案ごとに野党の賛成を得る必要がある。企業・団体献金の在り方についても、3月末までに結論を出すとしているが、立憲民主党と維新の会が献金禁止を主張する一方で、国民民主党は両党と距離を置いており、今後の展開が注目される。

衆院採決を見据え、立憲民主党は引き続き予算案の修正を迫る構えで、野田佳彦代表は「ここからが戦いの本番だ」と語っている。