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千葉県知事選挙、「宿泊税」をめぐり候補者の意見が対立

千葉県知事選挙が今月16日に投開票される。現職を含む4人が立候補し、各候補者の政策が注目を集めている。中でも「宿泊税」の導入をめぐり、候補者の意見が分かれている。

宿泊税導入の背景と県の方針

千葉県は昨年12月、新たに「宿泊税」を導入する方針を示した。宿泊税とは、ホテルや旅館などの宿泊料金に上乗せされる税金で、東京都や京都市を含む全国の10以上の自治体で既に導入されている。千葉県では、1人1泊あたり150円を一律で徴収し、年間40億円超の税収を見込んでいる。そのうち約11億円は交付金として市町村に配分される予定である。

宿泊税導入の背景には、観光需要の増加に伴う自治体の負担増がある。浦安市では、大型テーマパークがある舞浜エリアのホテルが排出するごみの量が年々増加しており、処理コストの負担が課題となっている。また、観光客の急病による救急搬送の増加も指摘されている。

候補者の賛否

宿泊税の導入について、各候補者の意見は以下の通りである。

  • 熊谷候補(現職):「賛成」
    • 「宿泊・観光業の人手不足が深刻な中、人口減少地域の振興のためにも大胆な施策推進が必要」としている。
  • 小倉候補:「反対」
    • 「宿泊税の導入は利用者への負担増となり、観光振興に逆行する。県として観光振興に必要な予算を拡充すべき」と主張している。
  • 黒川候補:「賛成」
    • 「外国人や一般観光客向けのインフラを整備するためには当然のこと」と述べている。
  • 立花候補:「反対」
    • 具体的な理由についての回答はなかった。

宿泊施設側の懸念

宿泊施設の一部からは、宿泊税導入に懸念の声も上がっている。館山市で民宿を経営する山田裕祥さんは、「10日間泊まると1人あたり1500円の負担になる。修学旅行や臨海学校の宿泊先が他県に流れてしまう可能性がある」と心配している。

昨年、県が宿泊施設に行ったアンケートでは、「賛成」または「どちらかと言えば賛成」が40%余り、「反対」または「どちらかと言えば反対」が30%余りという結果だった。反対意見には、一律定額徴収に対する疑問などが寄せられたという。

一部候補者の「選挙運動」が議論に

今回の知事選では、一部の候補者による選挙運動が議論を呼んでいる。立花候補と黒川候補は、告示後最初の週末に千葉県ではなく兵庫県神戸市で街頭演説を行った。

立花候補は神戸市内で選挙運動用のタスキを掛けて演説を行い、その内容の大部分は兵庫県政に関するものだったという。黒川候補も同じ場所で演説を行い、他の候補者に言及したり経済政策を訴えたりしていた。

知事選の争点と今後

知事選では宿泊税のほかにも、

  • 現職の県政運営への評価
  • 水道料金の値上げ
  • 災害対策
  • 子育て支援策
    などが争点となっている。

投票は16日に行われ、即日開票される予定である。候補者の政策が有権者にどのように受け止められるか、注目される。