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石破首相の商品券配布問題、与野党で対立「違法性なし」vs「説明不足」

石破茂首相が自民党の新人衆院議員に商品券を配布した問題を巡り、政府・与党は事態の沈静化を図る一方、野党は政治資金規正法違反の可能性があるとして追及を強めている。この問題は2025年度予算案の国会審議や今夏の参院選にも影響を与える可能性がある。

石破首相の釈明

石破首相は14日朝、首相官邸で記者団の取材に応じ、昨秋の衆院選で初当選した議員15人と今月3日に公邸で会食するに先立ち、各議員側に10万円相当の商品券を配布したことを改めて認めた。「会食の土産代わりにポケットマネーから渡した。政治活動に関する寄付では全くなく、違法性はない」と説明し、「大勢の方々に迷惑や心配をかけていることは非常に申し訳ない。深くおわび申し上げる」と陳謝した。

また、林芳正官房長官によると、首相はその後の閣僚懇談会でも同様の説明を繰り返した。政治資金規正法では政治家個人による政治活動への寄付を原則禁止しており、石破首相は13日夜の取材で「過去に同様の趣旨で渡したことはある」とも述べている。

野党は追及の構え

立憲民主党など野党は、この問題について国会質疑で追及を強める方針を示している。14日午後の参院予算委員会で石破首相が出席する中、野党側は質疑を通じて説明を求める考えだ。立憲民主党の野田佳彦代表は「政治活動の寄付に当たる可能性が高いのではないか。審議を通じて説明を求める」と強調した。

また、日本維新の会の前原誠司共同代表は「(参院での予算案の)賛否と結び付けるかも含め、党内で話し合う」と述べた。国民民主党の玉木雄一郎代表も「疑惑が払拭できないなら、首相の職を続けることは困難だと言わざるを得ない」と指摘した。

与党内からも懸念の声

自民党内でもこの問題を深刻に捉える声が上がっている。党幹部は「耐えられるかどうかだ」と懸念を示し、青山繁晴参院議員は「(首相は)進退も含めて自ら決すべきだ」と述べた。

一方、公明党の斉藤鉄夫代表は、石破首相に対し「国民の理解が得られないのではないか。国民の声を真摯に受け止めてほしい」と直接伝えたことを明らかにし、「説明責任を果たし、信頼回復に努めることが重要だ」と強調した。

政府の対応

政府側は石破首相の説明を支持する姿勢を示している。林官房長官は「総理大臣が個人として会食を設けることに問題はない」と説明し、総理公邸での会食についても「過去にも行われており問題はない」との見解を示した。

また、加藤財務相は「総理から話を聞いており、それ以上申し上げることはない」と発言。武藤経産相や江藤農相、平デジタル相も「違法性はないとの総理の説明に尽きる」と述べた。

今後の展開

石破首相の商品券配布問題は、野党の追及次第で首相の求心力低下につながる可能性がある。与党内でも首相の進退を問う声が出始めており、事態の推移が注目される。