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石破茂首相は1日、2025年度予算の成立を受けた記者会見で、トランプ米政権が表明している自動車などへの追加関税措置について、「日本が米国への最大の投資国であることを踏まえ、引き続き除外を強く求めていく」と述べた。その上で、国内産業や雇用への影響を精査し、必要な対策に万全を期す考えを示した。

全国1000カ所に特別相談窓口を設置

米国の追加関税措置が発動された場合、政府は短期的な対応として、全国約1000カ所に中小・小規模企業向けの特別相談窓口を設置する。また、企業の資金繰りや資金調達の支援を行うことも表明した。これらの具体的な対策については、与党と早急に調整するとした。

トランプ大統領との直接交渉も視野

首相は、必要があればトランプ大統領と直接交渉する考えも示した。「全体像が見えた時点で私が行くことが適当であると判断されれば、躊躇なくそのようにする」と述べ、政府を挙げて米側との交渉に取り組む姿勢を強調した。

追加関税への危機感、与野党に広がる

自動車産業は日本経済の屋台骨を支えており、自動車と部品への追加関税には与野党を問わず危機感が広がっている。1日には各党の幹部からも懸念の声が相次いだ。

自民党の小野寺五典政調会長は「大きな経済の危機」と述べ、自動車部品にも関税が賦課されれば全国各地で影響が出るとの認識を示した。自民党は同日、「日米関係の深化に関する総合戦略本部」を開催し、対応を協議。今後、政府への提言をまとめる方針を示した。

国民民主党の玉木雄一郎代表も、追加関税の影響で輸出価格の高騰を避けるために部品などの買い取り価格が抑えられ、賃上げ原資が減少する可能性を指摘。「下請けや中小企業の賃上げをより難しくする」と述べ、政府に十分な対応を求めた。

内閣支持率は低下傾向、政策対応が課題に

一方、内政では賃上げが「成長戦略の要」であると強調し、最低賃金引き上げに向けた対策を5月までに取りまとめるとした。また、円滑な価格転嫁のための新たな政策パッケージを6月までに策定する方針を示した。

少数与党の国会で2025年度予算は日本維新の会の協力を得て成立したが、高額療養費制度の方針変更により参院で再修正を余儀なくされた。さらに、自民党議員への商品券配布問題も影響し、各社の世論調査で内閣支持率は下落。共同通信が3月22、23両日に実施した世論調査では、支持率が前回2月調査から12.0ポイント低下し、27.6%と昨年10月の内閣発足後、最低水準に落ち込んでいる。

トランプ米政権による自動車関税への対応は、物価高と並ぶ重要な政策課題となっており、政府の対応が今後の政権運営にも大きく影響を及ぼす可能性がある。