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自民・森山幹事長と江藤農水相、米国産コメ輸入拡大に慎重姿勢

国内農家への影響に懸念 日米関税交渉をめぐり発言

日米間の関税交渉において、米国産コメの輸入拡大が日本政府内で検討されていることを受け、自民党の森山裕幹事長と江藤拓農林水産相が22日、それぞれの記者会見で慎重な姿勢を示した。

森山幹事長「主食用コメはミニマムアクセスが基本」

森山氏は、主食用の米について「ミニマムアクセス(MA)が基本だ」と述べ、輸入拡大にくぎを刺した。ミニマムアクセスとは、1993年のGATTウルグアイ・ラウンド交渉において合意された、無税で一定量のコメを輸入する制度であり、日本はこれに基づき年約77万トンの米を受け入れている。

森山氏は、「極めて重要な政府間交渉の最中で、一つ一つにコメントは控える」としながらも、ウルグアイ・ラウンドの合意に触れる形で、安易な輸入拡大案に否定的な見解を示した。農業政策に詳しい「農水族」の重鎮として、国内農家保護の観点から慎重な立場をとっている。

江藤農水相「主食を海外に頼ることが国益なのか」

同日行われた閣議後の記者会見で、江藤農水相も米国産など主食用米の輸入拡大に対して懸念を示した。江藤氏は、「農家が生産意欲をなくし、国内生産量が大幅に減少する恐れがある」とし、「主食を海外に頼ることが国益なのか、国民全体として考えていただきたい」と呼びかけた。

一方で、米国側は日本が管理する無関税の輸入枠制度や、枠外輸入にかかる関税の高さを問題視しており、制度の見直しを求めている。国内でもコメ価格の高騰を背景に、輸入拡大を求める声が一部で上がっており、15日には財政制度等審議会の分科会が「主食用の枠を拡大し、輸入米の活用を進めるべきだ」と提言していた。

江藤氏は、米国からの具体的な農産品に関する要求については明言を避けたものの、要求次第では日米貿易協定の見直しに発展する可能性もあるとして、「政府としてどう判断するかは極めて厳しい」と述べた。