作家・君嶋彼方氏の小説『君の顔では泣けない』(KADOKAWA刊)が実写映画化されることが決定した。主演は芳根京子とKing & Princeの高橋海人で、両者にとって初の共演作となる。映画は2025年11月に全国公開される予定。
高校生の心と体が入れ替わり、戻れないまま15年
原作は、第12回「小説 野性時代 新人賞」を受賞した君嶋氏のデビュー作。物語は高校1年生の夏、プールに落ちたことをきっかけに、坂平陸と水村まなみの心と体が入れ替わるところから始まる。2人は元に戻る方法を探すが、15年が経過しても入れ替わったままだった。
進学、就職、恋愛、結婚、出産、親との別れといった人生の転機を、他人の身体で経験していく2人。30歳の夏、まなみは「元に戻る方法がわかったかもしれない」と陸に伝える。
芳根京子と高橋海人が“入れ替わったままの15年”を熱演
本作で芳根は、不器用ながらも誠実に他人の人生を生きようとする陸を演じ、高橋は、女性としての本音を抱えながら気丈にふるまうまなみを演じる。監督と脚本は『決戦は日曜日』(2022年)の坂下雄一郎氏が務める。
坂下監督は「15年入れ替わったままという設定に驚かされた。困難な設定を映像化するにあたり、芳根さんと高橋さんの存在が突破口となった」と語る。芳根は「もがいて、もがいて、それでも精一杯、生きました」と撮影を振り返り、高橋は「リアルとファンタジーの狭間のような時間を想像しながら臨んだ」とコメントした。
原作者・君嶋彼方「原作の一番のファンである自分が太鼓判」
原作者の君嶋氏は完成した映画を鑑賞し、「全員が原作に真摯に向き合ってくださった」と感謝を述べ、「原作の一番のファンである自分が言うのだから間違いない」と太鼓判を押した。
30年分の人生を演じきったキャストにプロデューサーも賛辞
プロデューサーの小西啓介氏は「15年の積み重ねを表現するために、入れ替わる前後の30年を想像して役に臨んでもらった」と述べ、「戻りたいけれど戻らないほうがよいかもしれないという葛藤や、作品全体に漂う優しさと切なさが、この映画の魅力だ」と語っている。
映画『君の顔では泣けない』は、人生の中で「自分らしさ」や「他者との共生」を問いかける感情豊かなヒューマンドラマとして、公開に向けて注目が集まっている。