日本の石破首相は6月16日(日本時間17日)、カナダ・カナナスキスで米国のトランプ大統領と首脳会談を行った。会談では、米国が日本に対して発動している関税措置の見直しを巡る交渉が主な議題となったが、自動車関税の大幅な引き下げについてトランプ氏が慎重姿勢を崩さず、合意には至らなかった。
2月以来の対面会談、30分間の協議
今回の首脳会談は、先進7か国首脳会議(G7サミット)の開催に合わせて行われ、2月以来となる両首脳の対面協議であった。会談は約30分間行われ、日本からは赤沢経済再生担当相、米国からはベッセント財務長官らが同席した。
自動車関税の引き下げで隔たり
日本政府関係者によれば、これまでに6回にわたり行われた閣僚級協議では、対日貿易赤字の削減策や対米投資の促進などで一定の進展が見られた。特に、米国が4月に発動した「相互関税」(日本に対しては最大24%)の見直しに関しては、おおむね合意に至っていた。
しかし、自動車に課せられた25%の追加関税については、日本側が段階的な引き下げを含む仕組みを提案したにもかかわらず、トランプ大統領は会談の中で慎重な姿勢を崩さなかった。
石破首相「自動車は国益そのもの」
会談後、石破首相は記者団に対し「自動車は大きな国益であり、国益を守るために最善の努力を続ける」と述べた。日本政府は、自動車を基幹産業と位置付けており、今回の協議でも自動車関税の見直しを最重視してきた。
また、関税問題について「双方の認識が一致していない点が残っており、パッケージ全体での合意には至っていない」と説明。今後も閣僚間で協議を継続する方針で、米国が示す猶予期限(7月9日)の延長も視野に入れているとみられる。
トランプ氏「日本はタフな交渉相手」
トランプ大統領も会談後、記者団に「素晴らしい対話だった。彼(石破首相)は良い仕事をするだろう」と述べたうえで、日本の交渉団については「タフだ」と評価。交渉は容易ではないとの認識を示しつつも、「妥結の可能性はある」と含みを持たせた。
今後の展望
両首脳は、6月24日と25日にオランダで開催予定の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席するが、現時点で個別会談が行われるかは未定である。石破首相は、今後の交渉進展次第で訪米を検討する構えだ。