9月5日に公開される映画『遠い山なみの光』のメインビジュアルと本予告編が公開された。本作は、ノーベル文学賞受賞作家カズオ・イシグロの長編デビュー作を、『ある男』で日本アカデミー賞8部門を受賞した石川慶監督が映画化したヒューマンミステリーである。日本、イギリス、ポーランドの3カ国共同製作で、第78回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門に正式出品された。
終戦直後の長崎と1980年代イギリスを舞台に

物語は、1950年代の長崎と1980年代のイギリスを舞台に、3人の女性の人生と隠された真実を描く。終戦直後の長崎で生きる悦子(広瀬すず)、謎めいた女性・佐知子(二階堂ふみ)、そして30年後にイギリスで暮らす悦子(吉田羊)の視点で展開される。悦子の娘ニキ(カミラ・アイコ)が母の過去を尋ねると、悦子は戦後復興期の長崎で過ごしたひと夏の記憶を語り始める。しかし、ニキはその物語に違和感を覚え、隠された「嘘」に迫っていく。
豪華キャストと印象的な予告編
キャストには、広瀬すず、二階堂ふみ、吉田羊のほか、松下洸平(悦子の夫・二郎役)、三浦友和(二郎の父・緒方役)、柴田理恵、渡辺大知、鈴木碧桜(子役)が出演。ニキ役のカミラ・アイコはオーディションで選ばれた。
公開された予告編は、イシグロの言葉「人間はときに自分を騙すために嘘をつく」から始まり、悦子の回想と現在の対話が交錯する。「私がついた嘘」という言葉とともに、登場人物たちの感情が複雑に絡み合い、切ない真実が浮かび上がる。最後に悦子が発する「大丈夫ね、希望があるとやもん」という言葉が、物語の深いテーマを象徴する。
メインビジュアルでは物語の重層性を表現
メインビジュアルは、長崎の山なみを背景に、若き日の悦子、佐知子、そしてイギリスでの悦子の姿を捉え、時代を超えた物語の重層性を表現している。原作の繊細な心理描写と、石川監督の緻密な演出が融合し、先の見えない時代を生きる人々に勇気を与える作品に仕上がっている。
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