責任分担と協調体制、政策協議の新たな枠組みに
ガソリン税の暫定税率廃止を巡り、与野党は協議体の設置で合意した。背景には、少数与党となった自民・公明両党による政策遂行のための協調路線と、野党側が政策実現および連携強化を図る利害の一致がある。
与党、譲歩と引き換えに責任分担を要求
自民党の坂本哲志国会対策委員長は2025年7月30日、記者団に対し「参院選での民意を尊重し、反対であっても政策として検討せざるを得ない」と述べ、野党の主張を一定程度受け入れる姿勢を示した。
これまで自公両党は、代替財源が不透明であることなどを理由に暫定税率の早期廃止に慎重な立場を取っていた。しかし衆参で少数与党となった現状を踏まえ、野党との協議体を通じた国会運営に活路を見出す構えである。
合意文書には「財源確保などの課題は与野党合意の上で対応する」と明記されており、自民党幹部は「政府与党だけに責任を押し付ける形は容認できない」と語った。
野党側は政策実現と連携強化を視野
野党7党は通常国会で暫定税率廃止法案を共同提出していたが、現場混乱への配慮に欠けるとの批判があった。今回の協議体参加により、政府からの情報取得や現実的な政策調整が可能となるため、政策実現に向けた意義が大きいと見られる。
また、立憲民主党はこの協議体を日本維新の会や国民民主党などとの野党連携の場と位置づけており、「野党第1党としての責任を果たす」との姿勢を示している。
秋の臨時国会では、消費税減税や内閣不信任案提出などでも野党間の足並みが問われる見通しだ。
焦点は財源確保と流通対策
ガソリン税の暫定税率分(1リットルあたり25.1円)を廃止すれば、年間で約1兆円の税収減となり、自治体財政にも影響が及ぶ。ガソリン価格の急落に伴う需要変動や流通現場の混乱も懸念材料だ。
2008年に暫定税率が一時失効した際には、買い控えや在庫不足が発生した前例があり、同様の混乱回避が不可欠である。
こうした課題に対し、野党内では価格変動を緩和する措置として、石油元売り企業への補助金引き上げ案(暫定税率相当の25円程度)などが検討されている。
今後の協議体では、財源・補助策・時期などを巡って具体的な調整が進む見通しだ。協議の成否は、政策実現能力と政党間の信頼構築にかかっている