柄本佑×渡辺謙、初共演で挑む『木挽町のあだ討ち』 江戸ミステリーが2026年2月公開

第169回直木賞および第36回山本周五郎賞をダブル受賞した永井紗耶子の時代小説『木挽町のあだ討ち』が映画化され、2026年2月27日に東映配給で全国公開される。主演は柄本佑、共演に渡辺謙を迎え、初のタッグが実現。監督・脚本は『東京タワー』(2005年)や『グレースの履歴』(2023年)で知られる源孝志が務める。本作は「このミステリーがすごい!2024年版」や「ミステリが読みたい!2024年版」に選出され、2025年に歌舞伎化もされた話題作である。

江戸の芝居小屋を舞台にしたミステリー

原作は、江戸時代に実在した芝居町での仇討ち事件を題材に、真相を多角的に描く人間ドラマである。物語は、ある雪の夜に芝居小屋「森田座」近くで若衆・菊之助が成し遂げた仇討ちから始まる。美談として語り継がれたこの事件だったが、1年半後、菊之助の縁者を名乗る田舎侍・加瀬総一郎が真相を求めて森田座を訪れる。関係者の証言を通じて、仇討ちの裏に隠された謎と人間模様が明らかにされる。原作は時代考証の精緻さと巧みな構成で高く評価されている。

柄本佑、渡辺謙のコメントと役作り

柄本佑は、鋭い観察力で事件に迫る加瀬総一郎を演じる。柄本は「父が木挽町出身で、原作が出た時に珍しく購入して読んだ。まさか自分が演じるとは思わなかった」と語り、「源監督の脚本を読んで『そうきたかぁ』と唸った。原作ファンの方も安心して楽しめる」と自信を見せる。京都・太秦撮影所での撮影は「隅から隅まで俺得な現場だった」と振り返った。

渡辺謙は、森田座の立作者で謎を秘めた黒幕・篠田金治を演じる。原作のファンだった渡辺は「映画化したいと思っていた作品。源監督からのオファーに二つ返事で応じた」と明かし、「ミステリーと群像劇が融合した、東映らしい痛快なチャンバラ時代劇になった」とコメント。2025年の大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』での田沼意次役に続き、重厚な演技が期待される。

源孝志監督の挑戦と「刑事コロンボ」着想

監督の源孝志は、当初歌舞伎を題材にした作品に飽きていたが、原作を一晩で読み終え映画化を決意。「『刑事コロンボ』の再放送から着想を得て、原作で無口な総一郎を謎に切り込む探偵役に設定した。柄本佑の笑顔がすぐに浮かんだ」と語る。渡辺謙率いる「森田座アベンジャーズ」との対峙を軸に、脚本を一気に書き上げた。「原作の悲しみとエンターテイメント性を融合させ、疾走感ある作品に仕上がっている」と自信を示す。

プロデューサーと原作者の期待

プロデューサーの須藤泰司は、「アガサ・クリスティの『オリエント急行殺人事件』を江戸に置き換えたような上質なミステリー。柄本佑を筆頭にクセ者揃いのキャストと、渡辺謙の大ボスぶりが光る。東映京都の職人技が咲かせた『あだ討ち』の花を堪能してほしい」とコメント。原作者の永井紗耶子は、「読者を江戸の芝居小屋に案内する気持ちで書いた。撮影現場のセットでタイムスリップしたような臨場感を味わった。新しい角度から表現された本作を多くの人に楽しんでほしい」と期待を寄せる。

映画祭での特別上映と公開情報

本作は公開に先駆け、2025年9月13日から広島で開催される「しまなみ映画祭2025」、および10月17日から北海道で開催される「ゆうばり国際ファンタスティック思い出映画祭2025」で特別上映される。ティザービジュアルでは、雪道を歩く女性や赤い花弁と傘のそばで佇む総一郎の姿が描かれ、ミステリアスな雰囲気を醸し出している。

  • タイトル:木挽町のあだ討ち
  • 公開:2026年2月27日
  • 出演:柄本佑、渡辺謙
  • 原作:永井紗耶子『木挽町のあだ討ち』(小学館刊)
  • 監督・脚本:源孝志
  • プロデューサー:須藤泰司
  • 配給:東映

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