小野不由美の人気ファンタジー小説シリーズ「十二国記」の本編第1作『月の影 影の海』を原作としたミュージカル『十二国記 -月の影 影の海-』の製作発表会見が、9月11日に東京都内で開催された。会見には、ヨウコ役の柚香光、陽子役の加藤梨里香、楽俊役の太田基裕と牧島輝、景麒役の相葉裕樹、演出の山田和也が出席し、公演への意気込みを語った。シリーズ累計1300万部を突破する「十二国記」は、1991年の『魔性の子』から始まり、2002年にNHKでアニメ化、2019年の新作『白銀の墟 玄の月』で社会現象を巻き起こした大河ファンタジーである。本作は世界初のミュージカル化で、異世界と現実世界を舞台に、女子高生・中嶋陽子の成長と試練を描く。
原作の魅力と舞台化の挑戦
「十二国記」は、我々が住む世界と地図上にない異世界「十二国」を舞台に、天意を受けた霊獣「麒麟」が王を選び、国を治める壮大な物語である。本作では、女子高生・中嶋陽子が異界に連れ去られ、過酷な運命に直面する姿を、ヨウコ(異界後の陽子)と陽子(現実世界の陽子)の2人で演じるという斬新な構成が採用される。脚本・歌詞は『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』の元吉庸泰、音楽は映画『プリキュアオールスターズF』の深澤恵梨香、演出はミュージカル『ローマの休日』や舞台『キングダム』の山田和也が手がける。劇団プークのパペット制作と柴崎喜彦のパペット操演指導により、幻想的な世界観を表現する。
会見では、原作書影をオマージュした新ビジュアルが公開され、柚香が剣を構えるヨウコの姿が印象的だった。山田演出は「架空の世界をビジュアル化する難易度が高いが、舞台の特性を生かし、観客の想像力を刺激する。ヨウコの過酷な運命に感情移入できる作品に仕上げる」と語った。パペットや「モップ」と呼ばれる舞台装置、映像を活用し、異世界の神秘性を強調する。
柚香光、宝塚退団後初のミュージカル主演
元宝塚歌劇団花組トップスターの柚香光は、異界に連れ去られた後のヨウコ役を演じる。宝塚退団後、本作が本格的なミュージカル出演となる柚香は、「光栄であると同時にプレッシャーを感じている」と明かし、「ヨウコの試練との向き合い方に尊敬する。自分は果たしてどうするのかと顧み、学びを得ている」と原作の魅力を語った。加藤梨里香は、現実世界の陽子役を務め、「陽子が旅の中で自分らしさを見つけていく過程が魅力的。『家に帰りたい』という思いを大切に演じたい」とコメント。2人は陽子の心の対話を表現し、物語の深みを加える。
キャストの意気込みと公演の見どころ
楽俊役のWキャスト、太田基裕と牧島輝は、半獣のキャラクターをコミカルに演じる。牧島は「街のネズミが愛おしくなった」とユーモアを交え、太田は「尻尾の表現をお客さんの想像力に任せる」と予告。景麒役の相葉裕樹は、「陽子と契りを交わすシーンが印象的。『許す』の一言で世界が広がる感覚が好き」と語り、初めての「十二国記」ファンにも魅力を伝えると意気込んだ。柚香は宝塚で培った殺陣を異形の獣との戦いに活かし、加藤は「1人の人物がデュエットするような音楽表現がミュージカルの醍醐味」と強調した。
会見では、モップの「ぬべっと」した効果や壮大な音楽が話題に上がり、柚香は「空間が目まぐるしく変わる様子が幻想的」と絶賛。相葉も「生まれて初めての演出にワクワクする」と興奮を隠さなかった。ツアー公演の楽しみを問われ、牧島が「ご飯!」と即答し、メンバーから温かくイジられる和やかな雰囲気がカンパニーの結束を示した。山田は「水炊き、ねぎ焼き、ひつまぶし」と地域の食を挙げ、笑いを誘った。
公演スケジュールとチケット情報
公演は以下の日程で開催される:
- 2025年12月9日~29日:東京・日生劇場
- 2026年1月6日~11日:福岡・博多座
- 2026年1月17日~20日:大阪・梅田芸術劇場 メインホール
- 2026年1月28日~2月1日:愛知・御園座
チケットは東宝の公式サイト(https://www.tohostage.com/12kokuki/)で販売中。S席16,000円、A席10,000円(未就学児入場不可)。一般発売は2025年11月30日から。