大阪地裁「収益目的の身勝手な行為」と非難
TikTokで20万人以上のフォロワーを持つ男性配信者2人が、ガソリンスタンドの女性従業員を車内に閉じ込めたとして監禁罪および威力業務妨害罪に問われた事件で、大阪地裁は2025年9月18日、被告らに懲役1年・執行猶予4年の有罪判決を言い渡した。
事件の経緯
事件が発生したのは2025年5月19日午後、大阪市平野区のガソリンスタンドである。被告の男性2人は「給油口の場所が分からない」「レバーが後部座席付近にある」と説明し、女性従業員を車内に誘い込んだ。その後、ドアを閉めてチャイルドロックをかけ、車を発進させた。
車内では女性に「TikTokの事務所に入りませんか」などと勧誘しながら、拒絶する様子を撮影していた。撮影の許可は事前に取られていなかった。被害者の女性は「どこかへ連れて行かれるのかと思った」と恐怖を証言しており、事件後は半月間勤務できなかったという。
裁判所の判断
判決で裁判官は「動画の収益を得る目的の身勝手な行為」と断じた。その上で、執行猶予4年という長めの猶予期間を設定した理由について「同種犯罪を抑止するため」と説明した。
被告の1人は事件当時、「自分たちを知ってくれていると思っていた。怖がられるとは思わなかった」と供述していた。
過去にも迷惑行為で逮捕
驚くべきことに、被告の1人は2025年2月にも大阪市中央区で駐車監視員に虚偽の申告をし、業務を妨害したとして偽計業務妨害の疑いで逮捕されている。この件では罰金30万円の判決を受けたが、動画の収益が約100万円に上っていたとされ、実質的に罰金を上回る利益を得ていた。
ネット上で広がる批判
今回の判決に対し、ネット上では厳しい意見が相次いでいる。
「再犯なのに執行猶予で済むのは疑問だ」
「被害者は恐怖に苦しんでいるのに、被告は軽すぎる処分だ」
といった声が目立つ。
また「犯罪で稼いだ動画が収益化されるのはおかしい」「迷惑系アカウントは永久停止すべき」といった制度改革を求める意見も寄せられている。さらに「こうした動画を面白がる視聴者にも責任がある」との指摘もある。
今後の課題
SNSでは再生数を稼ぐために過激あるいは犯罪的な行為を配信する事例が後を絶たない。今回の事件はその危険性を改めて浮き彫りにしたといえる。
同様の被害を防ぐためには、動画収益化の厳格な規制や罰則強化が求められている。もし犯罪行為が疑われる動画を見かけた場合には、証拠を保存の上、警察や配信事業者に通報するなど適切な対応が必要である。