三島由紀夫の名作「サド侯爵夫人」が、2026年1月8日より東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAを皮切りに、大阪、愛知、福岡の4都市で上演される。演出は宮本亞門が手掛け、主演の成宮寛貴をはじめ、東出昌大、三浦涼介、大鶴佐助、首藤康之、加藤雅也によるオールメール(全員男性)キャストで上演される。本作は、18世紀フランスを舞台に、サド侯爵をめぐる女性たちの会話劇を通じて欲望や葛藤を描く傑作だ。今回は男性俳優が女性役を演じる斬新なアプローチで、観客に新たな美学と緊張感を届ける。
キャストと役柄
キャストと配役は以下の通り。
- ルネ/サド侯爵夫人:成宮寛貴
- サン・フォン伯爵夫人:東出昌大
- アンヌ(ルネの妹):三浦涼介
- シミアーヌ男爵夫人:大鶴佐助
- シャルロット(女中):首藤康之
- モントルイユ(ルネの母):加藤雅也
この豪華な実力派俳優陣が、三島由紀夫の鋭く精緻な言葉を体現し、愛、忠誠、道徳、欲望の対立をスリリングに描き出す。サド侯爵自身は登場せず、女性たちの会話を通じてその存在感が浮かび上がる構成が特徴だ。
演出と主演のコメント
宮本亞門(演出)
宮本は、「日本演劇界の頂点とも言える三島由紀夫氏の『サド侯爵夫人』を新たに創り出す喜びに胸が震えている。成宮君をはじめとする個性あふれる俳優たちと共に、危殆と破壊の縁に立ち上がる高揚を、かつてない舞台として結晶させる」と意気込みを語る。過去に「金閣寺」「ライ王のテラス」など三島作品を成功に導いた宮本は、言葉の力だけで紡ぐ演出で観客を魅了する。
成宮寛貴(主演)
成宮は12年ぶりの舞台出演で、「再び舞台という“生”の場所に立てることに静かな高揚を感じている。三島由紀夫の戯曲は俳優にとって試練であり喜び。鋭い言葉を自分の身体と声でどう響かせるか、覚悟を持って臨みたい」とコメント。25年前に宮本演出の舞台で俳優デビューを果たした成宮は、「このタイミングでの再タッグは運命的。今の自分だからこそ触れられる感情がある」と劇場での共鳴に期待を寄せる。
共演者たちの声
- 東出昌大:「『サド侯爵夫人』に出演できるのは俳優人生の誉れ。絢爛豪華な美文に負けない熱演を届けたい」と、三島作品への深い愛を語る。
- 三浦涼介:「三島生誕100年の節目にアンヌ役を演じるのは光栄。男性が女性を演じる美学とエロスに挑戦し、観客と作品を共に作り上げたい」と意欲を見せる。
- 大鶴佐助:「三島の台詞をどう立ち上げるか楽しみ。サド侯爵の美学と三島の美学が重なる本作を、男性キャストで演じることに違和感はない」と述べる。
- 首藤康之:「三島をモチーフにした作品でキャリアを始めた自分にとって、この機会は特別。丁寧な稽古で真実と愛に近づきたい」と語る。
- 加藤雅也:「三島作品への挑戦は長年の夢だった。セリフの多さに不安もあるが、全身全霊でモントルイユ夫人を演じきる」と決意を表明。
公演の意義と期待
「サド侯爵夫人」は、三島由紀夫の美学とサド侯爵の過激な思想が交錯する作品として知られ、国内外で高く評価されてきた。オールメールキャストという大胆な解釈は、女性役を男性が演じることで新たなエロスや美意識を引き出し、現代の観客に鮮烈な印象を与えるだろう。宮本亞門の演出は、装飾を排除し、三島の言葉の力を最大限に生かすことで、観客に人間の内面を深く掘り下げる体験を提供する。
公演情報
- 公演名: サド侯爵夫人
- 原作: 三島由紀夫
- 演出: 宮本亞門
- 出演: 成宮寛貴、東出昌大、三浦涼介、大鶴佐助、首藤康之、加藤雅也
- 公演スケジュール:
- 東京公演:2026年1月8日(木)~2月1日(日) 紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
- 大阪公演:2026年2月5日(木)~8日(日) 森ノ宮ピロティホール
- 愛知公演:2026年2月13日(金)~14日(土) 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
- 福岡公演:2026年2月17日(火)~18日(水) 福岡市民ホール中ホール
- 公式サイト: https://tspnet.co.jp/sade/