自民党の石井準一参院国対委員長は3日、政府が臨時国会の召集日を伝達する議院運営委員会理事会について、8日午前に開催される見通しだと記者団に明らかにした。政府は15日の召集を方向づけ、召集1週間前の伝達という通例に沿ったスケジュールで調整を進めている。この臨時国会では、4日に自民党新総裁が選出されるのを機に、首相指名選挙が行われ、石破茂首相の後任が正式に決定される見込みだ。
石破首相辞任の余波 自民総裁選で後継争い本格化
石破茂首相は9月7日、就任から1年足らずで辞任を表明した。背景には、自民党が衆院選で2度の大敗を喫したことが挙げられる。就任当初はアメリカの関税措置対応などで支持を集めたが、党内分断の深刻化が辞任の引き金となった。BBCニュースによると、石破氏の辞任は「決定的な分断」を避けるための判断であり、5年で4人目の首相交代という異例の事態を招いている。
これを受け、自民党は総裁選を急ピッチで進め、4日に投開票を実施する。候補者には高市早苗氏ら有力者が名を連ね、党内の保守派と改革派の対立が焦点となる。読売新聞の報道では、新総裁の選出が同日夜に決着し、直ちに臨時国会での首相指名へ移行する流れだ。野党側はこれを「政治空白」の象徴として批判を強めており、9月10日には9党派が憲法53条に基づく臨時国会召集要求書を額賀福志郎衆院議長に提出した。朝日新聞によると、野党は今月中の早期召集を求め、石破政権の「空白期間」に対する不満を露わにしている。
15日召集の意義 首相指名で新内閣発足へ
政府・与党の調整によると、臨時国会は15日に召集され、会期は短期間に限定される見込みだ。日本経済新聞は、召集日が同日と決まれば、首相指名選挙が即日実施され、新総裁が第103代首相に就任すると報じている。これにより、石破内閣の後継政権が迅速に発足し、衆院解散・総選挙に向けた布石を打つ。過去の事例では、2024年9月の総裁選後、石破氏自身が10月1日に召集された臨時国会で首相に指名された経緯がある。
このスケジュールは、与党の党内結束を優先したものだ。自民党幹部は「総裁選後の混乱を最小限に抑え、国民の信を問う総選挙へスムーズに移行する」との意向を示す。一方、野党は予算委員会の開催を求めているが、与党はこれを拒否し、年内の臨時国会や閉会中審査で対応する方針だ。時事通信の分析では、会期を9日間程度に抑えることで、実質審議を避け、新政権の基盤固めに注力する構えが見て取れる。
政治空白批判と今後の展望 野党要求が与党に圧力
野党の召集要求は、石破辞任後の「政治空白」を問題視したものだ。提出文書では、外交・経済政策の停滞を指摘し、即時対応を迫っている。政府はこれに対し、8日の伝達で野党の理解を促す段取りだが、調整の難航が予想される。自民党内では、新総裁の下で衆院解散を10月下旬に実施し、総選挙で政権維持を図る声が強い。
今後の焦点は、新首相の顔ぶれと政策方針だ。石破政権の遺産である経済再生や外交安保の継続が問われ、総選挙の結果次第で政局はさらに流動化するだろう。臨時国会の動向は、与野党の駆け引きを象徴するものとなる。