岡山市長選挙は10月5日投開票され、無所属現職の大森雅夫氏(71)が、新人3人を破り4回目の当選を果たした。立憲民主党、国民民主党、自民党岡山県連、公明党県本部からの推薦を受け、盤石の支援体制で臨んだ大森氏は、得票数89,183票を獲得。投票率は36.66%で、前回(2021年)の34.01%を2.65ポイント上回った。当日有権者数は56万8961人。当選会見で大森氏は「思った以上に厳しい選挙だった。多くの仲間に助けられた。これからの4年間、喜びを胸に全力で走る」と意気込みを語った。
選挙戦の構図 現職vs新人3人 支援拡大で大森氏優位
本選挙は、任期満了に伴うもので、9月21日告示。立候補者は現職の大森氏と、無所属新人の元市議会議長・浦上雅彦氏(60)、元警察官・神崎政人氏(37)、新日本婦人の会岡山支部長・向谷千鳥氏(67、共産党推薦)の計4人。開票結果は以下の通り(確定得票)。
順位 | 候補者名 | 年齢 | 所属 | 得票数 |
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当選 | 大森雅夫 | 71 | 無所属(現職) | 89,183 |
浦上雅彦 | 60 | 無所属(新人) | 74,494 | |
神崎政人 | 37 | 無所属(新人) | 27,780 | |
向谷千鳥 | 67 | 無所属(新人) | 14,917 |
大森氏は前回選挙で浦上氏との一騎打ちを制したが、今回は与野党の推薦に加え、市議会(定数46)の36人から立候補要請を受け、連合岡山などの労働組合支援も得た。読売新聞によると、選挙戦では「力強さ」「住みやすさ」「安全・安心」の3本柱を強調し、公共交通の充実(公設民営バス運行の推進)や物価高騰対策を訴えた。これに対し、浦上氏は市民税減税と防災庁誘致、神崎氏はデジタル技術活用の市政改革、向谷氏は水道料金値上げ中止と子ども医療費完全無料化を公約に掲げたが、組織票の差が響いた。
投票率の上昇は、選挙ドットコムの投票マッチング調査(9月実施)で関心の高まりを示す。山陽新聞との共同調査では、歴史・文化・スポーツを活かしたまちづくりや新アリーナ建設が争点となり、市民の関心を喚起した。
大森市政の3期実績 財政健全と待機児童ゼロをアピール
大森氏は2009年の初当選以来、政令指定都市として財政の健全性を維持。最新の決算では、政令市上位クラスの黒字を達成し、子育て支援として認可保育施設の待機児童を2年連続でゼロにした。FNNプライムオンラインの報道では、これらの実績が有権者の信頼を支え、支持を固めた要因だ。6月の市議会で4選出馬を表明した際、大森氏は「ふるさと岡山の役に立てていると自負している。さらに力を尽くしたい」と述べ、着実な市政運営を強調していた。
4期目の重点施策 新アリーナ構想で「ワクワク感」創出
当選後の大森氏は、4期目の重点として3本柱の継続を宣言。公共交通網の強化や、歴史・文化を活かしたまちづくりを進める一方、「岡山にもう少しワクワク感が欲しい。全市民が感じられるようにしたい」と語った。特に、構想中の新アリーナ建設を大きな柱に位置づけ、「反対派の理解も得られるよう努める」と理解促進を約束。毎日新聞によると、このアリーナはスポーツ・文化イベントの拠点として、経済活性化が期待されており、浦上氏ら新人からの白紙撤回主張との対立軸となった。
RSK山陽放送の取材では、大森氏は「厳しい選挙を通じて、市民の声に耳を傾け、持続可能な岡山を実現する」と決意を新たにした。投票率の上昇は、こうした政策議論の活発化を反映している。
今後の展望 政令市課題への対応が鍵
岡山市は人口約72万人を抱える中国地方の中心都市として、少子高齢化や防災強化が課題だ。大森氏の4期目は、物価高騰下での生活支援やデジタル化の推進が焦点となる。選挙結果は、現職の安定支持を示すが、新人候補の公約が次期選挙への布石となる可能性もある。