立憲民主党、日本維新の会、国民民主党の3党は、臨時国会での首相指名選挙に向けた野党候補一本化を巡り、15日に党首会談を開催する方向で調整を進めている。立民は国民民主の玉木雄一郎代表を有力候補と位置づけ、安全保障やエネルギー政策での政策修正に応じる構えを見せている。一方、国民民主は基本政策の一致を強く求め、維新の参加も不透明な状況だ。公明党の自民党連立離脱表明により、野党側の結束が政権交代の鍵を握る可能性が高まっている。
自民党の高市早苗総裁は同日、3党の党首と個別に会談する予定で、野党の動向を探る。一方、野党側は自民の196議席に対し、立民149、維新35、国民27の合計211議席で優位に立つ可能性があるが、決選投票の行方も注目される。
立民と国民民主の政策隔たり
立民と国民民主の間で最大の争点は、安全保障関連法とエネルギー政策だ。国民民主の玉木代表は14日の記者会見で、「政権を共にするのであれば、基本政策の一致が不可欠だ」と強調した。立民が主張する安保関連法の「違憲部分廃止」や「原発ゼロ」政策を挙げ、「一致させておかないと政権がガタガタする」と指摘。5年前の両党合流協議決裂の原因も、これらの政策対立にあった。
これに対し、立民の安住淳幹事長は14日の会談で柔軟な対応をアピール。「これまで自衛隊の違法性が認められる行為はない。政権運営の障害にならない」と安保法制の現実的な運用を主張した。原発政策についても、「再稼働を否定しておらず、条件を満たせば容認する」と説明し、玉木氏に大局的な判断を促した。 しかし、立民党内左派からは「コンセンサスが得られていない」との反発があり、短期間での大幅修正は難しいとの見方が強い。
維新の慎重姿勢、不確定要素に
維新は表向き、立民と国民民主の動向を注視する立場だ。中司宏幹事長は14日の会見で、「両党に一致点があれば初めて真剣に話を聞く」と述べ、積極的な参加を避けた。同党は自民との国会対策委員長会談も行っており、党内では「政策実現ができる方との連携を選べばいい」との現実路線が浮上している。維新が離脱すれば、野党3党の過半数戦略は崩壊する恐れがある。
元維新の松井一郎氏は15日、野党一本化に否定的な見解を示し、「1カ月でバラバラ目に見えている」と指摘。高市総裁の首相就任を予想した。
公明離脱と選挙の全体像
公明党の連立離脱は、野党結束の追い風となっている。公明の斉藤鉄夫代表は高市氏に「自党名での投票」と伝え、野党協力の可能性を残している。立民の本庄知弘政調会長は公明に対し、「自民より政策が近い」とアピール。臨時国会召集は20日か21日が有力で、指名選挙は直ちに行われる見込みだ。
野党一本化の成否は、立民の政策譲歩と維新の判断にかかっている。成功すれば自民の少数与党化が進み、政権交代の布石となるが、失敗すれば昨年11月の選挙のように無効票が増え、自民優位が続く可能性が高い。15日の党首会談が、混沌とした情勢の転機となるだろう。