神奈川県鎌倉市の市長選挙が19日告示され、現職の松尾崇氏(52)と新人3人の計4人が立候補した。任期満了に伴う選挙で、投票日は26日。18日現在の選挙人名簿登録者数は14万9905人(男性6万9906人、女性7万9999人)。すべての立候補者は無所属で、投開票は午前7時から午後8時まで実施される。期日前投票は20日から25日まで可能だ。
立候補者の顔ぶれ
立候補者は以下の通り。
- 現職:松尾崇氏(52):4期務め、5選を目指す。2013年初当選以来、観光振興や防災強化を推進。
- 新人:栗原絵里子氏(56):元市議。市議3期を務め、市民目線の政策を強調。
- 新人:梅沢保雄氏(73):造園会社会長。地域の緑化や環境保全を訴える。
- 新人:広瀬浩一氏(61):会社員。行政の効率化を主張。
これまでに5人の立候補意向が報じられていたが、告示時点で4人に絞られた。
主な争点:新庁舎分散化計画
選挙の最大の争点は、現在の市役所から約3キロ離れた深沢地区に新庁舎を建設し、2拠点体制とする「庁舎分散化」計画だ。松尾氏は「災害に強いまちづくり」の一環として推進し、今年7月に分割案を示した。一方、栗原氏らは「市民の利便性低下や財政負担増」を指摘し、反対の立場を取る。梅沢氏と広瀬氏も計画の見直しを主張し、環境影響や交通渋滞の懸念を挙げている。2022年の条例改正案は市議会で否決されており、移転賛成派の市議が最近の選挙で1人減った影響も指摘される。
候補者の公約と選挙戦の見通し
松尾氏は深沢地区の活性化と防災拠点化を強調し、「道半ばの計画を完遂する」と訴える。栗原氏は市民参加型のまちづくりを掲げ、観光対策や子育て支援を優先。梅沢氏は緑豊かな鎌倉の保全を、広瀬氏は行政改革とコスト削減を公約に掲げる。19日の告示後、候補者らは街頭演説で論戦を展開。市民の意見が分かれる中、公開討論会(18日開催)の録画がYouTubeで視聴可能だ。投票率向上のため、青年会議所などがアンケートを実施している。
選挙の意義と背景に注目
鎌倉市は古都として観光客が多く、人口約17万人のまちづくりが課題。市議選(4月)では庁舎移転反対派が勢いを増し、今回の市長選が政策転換の鍵となる。選挙管理委員会は不在者投票や郵便投票も呼びかけ、投票日まで1週間を切った。市民の選択が、鎌倉の未来を左右するだろう。