福岡県知事選の投開票が3月23日に行われる。今回の選挙には現職1人と新人3人の計4人が立候補しており、それぞれの政策や政治に対する考え方が注目されている。本記事では、各候補者の主張や経歴、政策の特徴を紹介する。
立候補者の横顔と政策(届け出順)
吉田幸一郎氏(45)
弁護士として、難民問題やいじめ問題などの社会課題に取り組んできた経験を持つ。行政機関と長期間争う裁判の限界を感じ、「行政の中から社会を変えたい」との思いから出馬を決意した。
福岡市出身で、中学時代に家族とともに英国に移住。食品関連企業への勤務を経て、2015年に弁護士となった。最低賃金の引き上げや中小企業支援を最優先課題とし、「議会側と活発な議論を行い、開かれた政治を実現したい」と訴える。
趣味は剣道(四段の腕前)で、休日にはゴールデンレトリバーの散歩を楽しんでいる。
服部誠太郎氏(70)
現職の知事として4年間の県政を担ってきた。前回の選挙では、前知事の病気療養に伴う「緊急登板」として立候補し、新型コロナウイルス対策に奔走した。「県民を思う現場の方々に助けられた」と振り返る。
北九州市出身で、1977年に県職員として入庁。農業、土木、財政、福祉など多岐にわたる部署を経験し、東日本大震災時には宮城県石巻市への物資支援を担当した。
「県庁は県民の人生や命を守る仕事」との信念を持ち、若い職員の意見を積極的に取り入れる改革姿勢を示している。公務の多忙な日々の中、東京在住の次女とオンラインで体操をするのが日課という。
藤丸貴裕氏(48)
福岡県大牟田市で家族とともにタイヤ修理業を営む。4年前にも知事選への出馬を検討したが、当時は新型コロナ対策の知識不足を理由に見送った。
九州大学大学院の機械科学専攻を修了し、民間企業に就職。その後、家業を手伝いながら、学習塾で高校生に勉強を教えるアルバイトを経験した。「学校教育に関心がある」とし、学生服の廃止や給食費の無償化を掲げる。
情報収集の手段としてYouTubeを活用し、選挙戦でも街頭演説は行わず、自身のYouTubeチャンネルを通じて政策を発信している。
新藤伸夫氏(76)
政治団体の代表を務め、1人あたり月22万円を支給する「ベーシックインカム」の実現を最優先公約として掲げる。
大阪市立大学大学院を修了後、大阪府の私立高校で数学を教えていた。橋下徹元大阪府知事の影響を受け、2013年の参院選に初挑戦。その後、東京都知事選や衆院選にも出馬したが、いずれも落選している。福岡県との直接の縁はないが、「古い政治を改めたい」と訴える。
趣味はカラオケで、選挙戦では演説とともにオリジナルソングを披露している。
争点の一つ「ワンヘルス」政策
福岡県が推進する「ワンヘルス」政策も、今回の知事選の争点の一つとなっている。「ワンヘルス」とは、人、動物、地球環境を一体的に守る考え方であり、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、世界的にも重要視されている。
福岡県は2022年度からこの政策に約45億円を投じ、県民への啓発活動や学校での教育に力を入れてきた。しかし、県民の認知度は50.7%と半数にとどまり、事業費に対する疑問の声もある。
各候補者のスタンス
現職の服部氏は「ワンヘルスはSDGsと同様に長期的な取り組みであり、環境対策の継続が必要」として推進を継続する考えを示している。
一方、新人3人は反対の立場を取る。
- 吉田氏:「県税で行うべき事業ではなく、県民の優先課題とはズレている」と指摘。
- 藤丸氏:「税金の無駄遣い」とし、環境対策に使うならメタンガス発電所の建設など別の方法を検討すべきと主張。
- 新藤氏:「ワンヘルスは中止すべき。まずは人間の健康を最優先に考えるべき」との考えを示した。
賛否が分かれるこの政策も、有権者が一票を投じる際の判断材料となりそうだ。
投票日は3月23日
各候補者がそれぞれの政策を訴える中、福岡県知事選は23日に投開票を迎える。県政の今後を左右する選択として、有権者の関心が高まっている。
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