長月天音による小説『ほどなく、お別れです』が実写映画化されることが発表された。主演は浜辺美波とSnow Manの目黒蓮。公開は2026年2月を予定しており、東宝が配給を担当する。監督は『今夜、世界からこの恋が消えても』などを手がけた三木孝浩。脚本はドラマ『ライオンのおやつ』の本田隆朗が務め、岡田惠和が監修を担当している。
“最高の葬儀”を描くヒューマンドラマ

原作は、葬儀会社「坂東会館」で働くことになった主人公・清水美空と、彼女を指導するベテラン葬祭プランナー・漆原礼二の交流を描いたヒューマンドラマ。就職活動に失敗した美空は、厳しい指導に戸惑いながらも、漆原の姿勢に次第に惹かれていく。出棺の際に「ほどなく、お別れです」と穏やかに声をかける漆原の姿を目にし、やがて美空は彼のような葬祭プランナーを目指す決意を固める。
物語は「残された遺族だけでなく、故人も納得できる葬儀とは何か」という問いに向き合いながら進行する。葬儀という日常に潜む非日常を、誠実に描き出す作品となっている。
原作者・長月天音の思い
原作者の長月は、夫を亡くした経験をもとに本作を執筆。「同じように悲しい思いをしている人を救いたい」という思いで、2年をかけて小説を完成させた。映画化については「浜辺さんと目黒さんという今をときめくお二人に演じていただけるなんて夢のよう」とコメント。また、「脚本は原作では伝えきれなかった部分にまで踏み込んでくださった」とし、映画によってより多くの人に物語が届くことへの期待を語った。
キャストのコメント
浜辺美波は「“お別れ”は避けられない身近なものでありながら、前向きで温かいものでもある」と述べ、今作が「周りの人を大切にしたいと感じる作品になっている」と語った。共演の目黒蓮は「お葬式という場を通じて、非日常に思える別れが現実のものとして心に響く作品」とし、「観終わったあとに、自分の人生に目を向けてほしい」と訴えた。
葬儀を見つめ直す映画に
監督の三木孝浩は、「死にこそ寄り添う大切さ」を原作から感じ取ったと語り、ラテン語の“メメント・モリ(死を想え)”という言葉を引用しながら「死を意識することで生がより尊くなる」とコメント。本作はキャスト・スタッフ全員が「いつか来る別れ」を想いながら制作に臨んだと明かした。
プロデューサーの春名慶は「悲しい結末ではなく、死の事実をどう受け止め、前へ進むかを描いた」と説明。「死の悲しみを、死者への慈しみに変える」作品だと語り、観客には「タオルかハンカチの持参を」と呼びかけた。
また稲垣優プロデューサーは、制作にあたり実際の葬祭プランナーに取材を重ねたことを明かし、「誠実さと真摯さを持った俳優に託したかった」とキャスティングの意図を説明した。
撮影は2024年に実施
映画の撮影は2024年2月中旬から3月下旬にかけて行われた。現場では、役柄の関係上、主演の2人が言葉を交わす機会は少なかったものの、お互いの誠実な姿勢が印象に残ったと語っている。