ハロー!プロジェクトの西日本出身メンバー13人による「戦争を知らない子供たち」のカバーが、8月23日に配信リリースされる。1970年8月、大阪万博会場で全日本アマチュア・フォーク・シンガーズにより初披露されたこの楽曲は、きたやまおさむ作詞、杉田二郎作曲によるフォークソングの名曲である。1971年にジローズ(杉田二郎、森下次郎)によってシングル化され、戦後生まれの若者たちの平和への願いを象徴する曲として広く愛されてきた。

若者たちの声で現代に再解釈

2025年、55年ぶりに大阪で国際博覧会が開催されることを機に、ハロー!プロジェクトの西日本出身メンバー13人が本曲をカバー。参加メンバーは、植村あかり(ex. Juice=Juice)、井上春華(モーニング娘。’25)、下井谷幸穂(アンジュルム)、松永里愛(Juice=Juice)、有澤一華(Juice=Juice)、秋山眞緒(つばきファクトリー)、豫風瑠乃(つばきファクトリー)、西田汐里(BEYOOOOONDS)、岡村美波(BEYOOOOONDS)、広本瑠璃(OCHA NORMA)、西崎美空(OCHA NORMA)、植村葉純(ロージークロニクル)、上村麗菜(ロージークロニクル)である。平均年齢20.7歳の彼女たちが、透明感と力強さを兼ね備えた歌声で、現代の若者の視点から平和への願いを表現する。

歌詞を現代に合わせて一部変更

本カバーでは、歌詞の一部が現代の若者の課題を反映する形で変更された。オリジナル歌詞の「髪の毛が長いと許されないなら」が「みんなと違うと許されないなら」に改められ、同調圧力に直面する現代の若者の思いを代弁。きたやまおさむは「子供たちが『戦争を知らない』ままであってほしいという願いは、時代を超えて変わらない」とコメント。杉田二郎も「新たな命が『戦争を知らない子供たち』であり続けてほしい」と述べ、若者たちの歌声に力強さと喜びを感じたと語った。

反戦歌としてのリアリティ

音楽評論家の富澤一誠氏は、近年の世界情勢を背景に「ロシアのウクライナ侵攻以降、戦争が身近に感じられる時代になり、この曲の反戦歌としてのリアリティが増している」と指摘。1970年代のベトナム戦争や学園紛争の時代に「反戦歌」として若者の支持を集めた本曲は、その後合唱曲として親しまれてきたが、現代の紛争の増加に伴い再び反戦のメッセージが注目されている。富澤氏は「この歌が平和慣れした日本人に平和の尊さを考えさせるきっかけになる」とその使命を強調した。

若者たちが紡ぐ平和へのメッセージ

ハロプロ西日本メンバーによるカバーは、平和への願いを現代に繋ぐ試みである。彼女たちの歌声は、時代を超えて変わらぬ反戦のメッセージを伝え、若い世代が望む未来を力強く訴える。本作は、フォークソングのクラシックとしてだけでなく、現代社会への警鐘として新たな命を吹き込まれる。