山田洋次監督の91本目の作品となる映画『TOKYOタクシー』(11月21日公開)は、倍賞千恵子と木村拓哉が主演を務める感動のヒューマンドラマである。フランス映画『パリタクシー』(2022年日本公開)を原作に、東京を舞台にタクシー運転手と乗客の心の交流を描く。予告編と、倍賞と木村が腕を組んで歩くメインビジュアルが公開され、追加キャストとしてマキタスポーツ、北山雅康、木村優来、小林稔侍の出演も明らかになった。

ストーリーと予告編の見どころ
物語は、タクシー運転手の宇佐美浩二(木村拓哉)が、85歳の高野すみれ(倍賞千恵子)を東京・柴又から神奈川・葉山の高齢者施設まで送る旅を通じて展開する。予告編では、最初はそっけないやりとりから始まる二人が、会話を通じて次第に心を通わせる様子が描かれる。すみれが「運転手さんの初恋はどんなだったの?」と質問し、照れる浩二に「つまんない、照れてるのね!」と肩を叩く軽快な掛け合いが印象的だ。すみれの依頼で東京の思い出の地を巡る中、彼女の壮絶な過去が明らかになる。若き日のすみれ(蒼井優)が子を抱きながら泣く姿や、裁判所で毅然と立つシーンも映し出され、彼女の人生に何が起きたのかが気になる展開となっている。ラストでは、浩二が涙を拭う場面が登場し、彼の涙の理由と旅の結末に期待が高まる。
メインビジュアルの魅力
メインビジュアルは、夕日を背景にすみれと浩二が腕を組んで歩く穏やかなシーンを切り取ったものだ。「生きてきた道と生きていく道を、ふたりで走る。」というコピーが添えられ、初対面の二人が旅を通じて絆を深める物語のテーマを象徴している。鮮やかな夕景と二人の笑顔が、温かくも切ない雰囲気を醸し出す。
追加キャストと役割
追加キャストとして、マキタスポーツが若き日のすみれが関わる裁判の裁判官役で山田監督作品に初出演。北山雅康はすみれが入居する高齢者施設のスタッフ役、木村優来はすみれの息子・勇役を演じる。木村優来はNHK連続テレビ小説「あんぱん」で主人公の幼少期を演じた若手俳優だ。山田組の常連である小林稔侍は、すみれと浩二が訪れるレストランの客役で出演し、物語に深みを加える。
山田洋次の監督としての視点
山田洋次監督は、昭和から令和にかけて日本人の暮らしを描き続けてきた。本作では、変化し続ける東京を背景に、人生の喜びと試練をタクシーの旅を通じて表現する。原作『パリタクシー』のフランスでの成功を受け、日本独自の感性で再構築された本作は、山田監督の集大成ともいえる作品となるだろう。
公開情報
『TOKYOタクシー』は2025年11月21日に全国公開予定である。予告編とビジュアルから、倍賞と木村の演技が織りなす人間ドラマが観客の心を掴むことが期待される。