自民党四役が「ドミノ辞任」 石破首相は後任人事を先送りし体制維持へ

参院選惨敗の責任で四役が辞意

自民党の幹事長ら党四役が、参院選の惨敗を受けて一斉に辞意を表明した。石破茂首相(党総裁)は続投を表明したが、四役の後任を決めず事実上の体制維持を図る姿勢である。この対応により党運営や野党との協議の停滞は避けられず、政権は窮地に立たされている。

異例の「ドミノ辞任」

2日の両院議員総会で森山幹事長が辞任の意向を表明すると、小野寺政調会長、鈴木総務会長、木原誠二選挙対策委員長が相次いで辞意を伝える「ドミノ辞任」となった。四役は党の中枢機能を担うが、首相は後任を指名せず、事実上現体制の継続を選択している。

党務停滞への懸念

党の政策立案を担う政調は、政調会長が主体的に動けない状況では新たな政策議論が進まないとの見方が出ている。経済対策をまとめる上で与党内の調整が不可欠であるが、「後任の役員が対応すべきだ」との声が党内で強まっている。小泉農相も「四役が全員辞意を表明したことは非常に重い」と危機感を示した。

辞意の温度差

四役の間には辞意の表明方法に差がある。小野寺、鈴木、木原の各氏が辞任を明確に伝えた一方で、森山氏は「進退伺」として表現を抑えた。森山氏に近い坂本哲志国会対策委員長も辞表を提出したが、受理されなかった。森山氏には「党内混乱を避けたい思いがあるのではないか」との見方も出ている。

政権運営の行方

四役の機能不全により、臨時国会を前にした野党との協議は停滞が避けられない。党役員の任期は9月末であり、首相は人事に着手せざるを得ない状況にあるが、党内では「首相に政治的体力は残されていない」との厳しい声もある。

首相は公務継続

石破首相は3日、日本銀行の植田総裁らと会談し、経済や物価情勢について意見を交わした。臨時総裁選の可否が8日に決まる見通しだが、首相は引き続き地方創生政策の推進に意欲を示しており、知事らとの懇談会の調整も進めている。