石破首相が辞任会見で改革強調
自民党の石破首相(党総裁)は7日の辞任会見で、党の解党的出直しの必要性を強調した。岸田前政権時代にも同様の発言を繰り返しており、党内からは「危機に陥るたびに同じ言葉を使い、実現性に乏しい」との指摘が出ている。
支持層の流出が顕著に
自民党は1955年の結党以来、大半の期間で政権を担い、「国民政党」を自負してきた。しかし、昨年10月の衆院選と7月の参院選で惨敗し、国民の自民離れが鮮明となった。
参院選の比例票は、2022年の約1830万票から約1280万票に減少。小林鷹之・元経済安全保障相は「これまで自民を支えた層の一部が新興政党に流れた」と危機感を示した。
出口調査でも30代支持層は6%、18~29歳は4%にとどまり、安倍・菅両政権下での若年層支持の高さとは対照的である。
政治資金問題が不信の背景
支持離れの背景には、旧安倍派などによる政治資金パーティー収入の不記載問題がある。党は関係議員を処分し、一部を非公認とするなどの対応を取ったほか、派閥解散に踏み切った。しかし有権者の厳しい視線は依然続いている。
旧安倍派の議員は「派閥慣行に従っただけ」と釈明したが、無関係の議員も批判を浴び、党内対立の火種となった。石破首相降ろしに旧安倍派が加わったことで溝は一層深まり、相互不信は根強い。
政策面でも国民意識とずれ
参院選後の会見で首相は自民離れの要因について「色んな要因がある」と述べた。だが、現金給付などの公約が支持を得られなかったことから「党は国民意識とずれている」との声が相次いでいる。
党内には「リベラル色の強い岸田・石破政権で保守層が離れた」との指摘がある一方、「政策を先鋭化させても先細りする」との意見もある。岸田前首相は「包摂的な穏健な保守政党」を目指すべきだと主張している。
結党70年、国民政党の再生は可能か
自民党は11月15日に結党70年を迎える。新総裁が掲げる路線や信条が国民に共感されるのか、多様化するニーズをいかにくみ取れるのかが問われている。国民政党であり続けるための再生は容易ではなく、新総裁が背負う責任は極めて重い。