劇場アニメ「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」の本予告がYouTubeで公開された。主題歌は上白石萌音が歌う「奇跡のようなこと」で、Kazuyo Suzukiの作曲とMONGOL800のキヨサクによる作詞が作品の深いテーマを彩る。映画は武田一義の同名漫画を原作とし、久慈悟郎が監督を務め、2025年12月5日より全国公開される。

作品概要とストーリー

本作は、太平洋戦争末期の1944年9月15日から始まったペリリュー島の戦いを描く。日本の戦局が悪化する中、終戦を知らず2年間潜伏した34人の兵士たちの過酷な運命と人間ドラマが中心となる。主人公で漫画家志望の田丸均(板垣李光人)は、仲間の最期を遺族に伝える「功績係」を務め、相棒・吉敷佳助(中村倫也)とともに戦場での友情を育む。天野宏郷、藤井雄太、茂木たかまさ、三上瑛士も声優として参加している。

予告映像は、ペリリュー島の美しい自然から一転、血と硝煙に染まる戦場を90秒に凝縮。「楽園が、地獄になる」というコピーが示す通り、戦争の残酷さと人間の絆が対比的に描かれる。田丸が米兵の「ママ…」という最期の言葉に動揺するシーンや、両親が見送る追憶の場面は、戦場での普遍的な故郷への想いを浮き彫りにする。

主題歌「奇跡のようなこと」の魅力

主題歌「奇跡のようなこと」は、優しいメロディと歌詞が戦場の過酷さと希望を繋ぐ。上白石は「楽曲を聞くだけで島の風や波、今に繋がるバトンを感じ、映画のその後にも思いを馳せながら歌った」とコメント。板垣は「優しく心が暖かくなる上白石さんの歌声に救われた。田丸や吉敷、島で戦った全ての人々の想いが詩とメロディーで紡がれた」と語り、感謝を述べた。

Xの投稿では、ファンから「上白石さんの歌声が心に響く」「戦争の悲惨さと人間らしさが伝わる予告」との声が上がっている。原作ファンは「漫画の絵柄を活かしたアニメーションに期待」と反応し、公開を心待ちにしている。

キャストとスタッフのコメント

上白石は原作を読み、「キャラクターが身近に感じられ、一人一人の人間の物語が描かれていた」と振り返る。「田丸くんの『よく見て、考える』という言葉が好き。歴史や未来を考えるきっかけになってほしい」と願いを込めた。

本ビジュアルは、夕焼けを背景に田丸と吉敷が肩を支え合う姿を描写。戦車の影や倒れた仲間が戦争の過酷さを強調し、ティザービジュアルの穏やかさからの変化が話題となっている。

公開情報と期待

ペリリュー -楽園のゲルニカ-」は、戦後80年の節目に公開され、戦争の記憶と人間の尊さを伝える作品として注目される。原作の持つリアリティとアニメの表現力が融合し、板垣と中村の声がキャラクターに魂を吹き込む。公開初日の12月5日には、観客が歴史を「よく見て、考える」機会となることが期待される。