自民党と日本維新の会は、連立政権樹立に向けた政策協議を進めている。高市早苗総裁と藤田文武共同代表の会談が16日に続き、17日も再協議を予定。維新は12項目の要求を提示し、国会議員定数の1割削減や企業・団体献金の廃止、消費税減税、副首都構想などを主張。一方、自民党は憲法改正や外交・安全保障で一致を確認したものの、定数削減をめぐる溝が拡大している。21日召集の臨時国会で首相指名選挙を控え、調整が急がれている。
逢沢氏の批判
自民党の逢沢一郎 選挙制度調査会長は16日、自身のXで維新の定数削減要求を「論外」と批判した。逢沢氏は超党派の衆院選挙制度協議会の座長を務め、選挙制度に詳しい。「身を切る改革、イコール議員定数削減ではない」と指摘し、「現行制度で定数削減となると、大阪、東京じゃなくて地方の定数がさらに少なくなる」と地方への悪影響を強調。与野党協議で定数削減を含めた議論が進む中、「この状況のなか、自民・維新でいきなり定数削減は論外です」と述べた。17日には記者団に対し、「真剣な議論が与野党で進んでいる。状況をよく受け止めていただいての協議であってもらいたい」と改めて自制を促した。
吉村代表の強硬姿勢
一方、維新の吉村洋文代表は16日のテレビ朝日番組で、定数削減について「そこは譲らない」と強調。17日のフジテレビ番組では、「本質は議員定数の大幅削減だ。企業・団体献金の禁止はできるだけ埋めていきたいが、定数削減をまず本気でやれるかがポイント」と語り、連立の絶対条件とした。年内の定数削減を明記する合意がなければ連立を組まない方針を明言し、「半々、どっちに行くかの分岐点」と連立の見通しを語った。維新は小選挙区比例代表並立制の廃止や中選挙区制移行も求め、臨時国会での法改正実現を訴えている。
維新の「身を切る改革」への思い入れ
維新の定数削減要求の背景には、2012年11月の安倍晋三元首相と野田佳彦立憲民主党代表の約束がある。当時の党首討論で野田氏が定数削減を条件に衆院解散を求め、安倍氏が応じた。以降、一票の格差是正のための調整は行われたが、抜本的な削減は実現していない。自民の萩生田光一幹事長代行は15日のニコニコニュースのインタビューで、維新内から「安倍さんと野田さんの約束した議員定数削減のほうが重い」との声を紹介。「維新内もいろいろ意見があるのだな、と思い、今、模索している」と語った。維新はこれを「身を切る改革」の象徴として位置づけ、連立協議の核心に据えている。
今後の展望は
自民党の高市総裁は維新の藤田共同代表に重要閣僚ポストの打診も行ったが、定数削減をめぐる対立は連立の成否を左右する。維新の両院議員総会では、献金規制での妥協を避ける声も上がり、党内結束が強い。Xでは「#自民維新連立」「#議員定数削減」のハッシュタグが活発で、地方議員の懸念や維新の改革意欲をめぐる議論が広がっている。17日の協議で合意点が見つかるかが焦点だ。