映画『先生の白い嘘』の初日舞台挨拶が7月5日、東京・丸の内ピカデリーで行われた。主演の奈緒をはじめ、共演の猪狩蒼弥、三吉彩花、風間俊介、監督の三木康一郎が登壇し、観客に対して謝罪と感謝の言葉を述べた。
本作の撮影において、インティマシーコーディネーターを起用しなかったことが問題となっており、前日の7月4日にこの件に関するインタビュー記事が公開された。それを受けて、舞台挨拶の冒頭ではプロデューサーの稲垣竜一郎が製作委員会を代表して謝罪のコメントを読み上げた。
「インティマシーシーンの撮影時には、絵コンテによる事前説明を行い、撮影カメラマンを女性にするなど配慮をしておりましたが、これまでの認識が誤っていたことを深く反省しております」と述べ、出演者やスタッフ、観客に対して謝罪した。
続いて三木監督も謝罪の意を表明し、「関係者・スタッフ・キャストに大きな苦しみを与えてしまったことを謝罪したい。本当に申し訳ありませんでした」と述べた。
奈緒は、「複雑な思いが正直ありますが、この作品が一つの映画として力強いものになっていると感じました。今日ここに来るまでに多くの葛藤がありましたが、鳥飼先生と話し合い、原作に支えられて映画を作り上げることができたことを嬉しく思っています」と語った。
猪狩は、「奈緒さんと撮影前に話をしたとき、演技について不安があることを伝えると、『この作品を撮り終わったときにまた演技をやりたいと思ってくれたらそれが一番だ』と言われました。その言葉に支えられ、また演技をやりたいと思えるようになりました」と述べた。
三吉は、「奈緒ちゃんが座長として真摯に向き合ってくれたおかげで、現場での困難なシーンも乗り越えられました。彼女の演技を見て勇気をもらいました」と奈緒の姿勢を称えた。
風間は、「この作品が誰かの希望になったり、明日を変えるようなものになれば幸せです。この作品での経験が、映画を作った者たち全員にとって責任を伴うものだったと感じています」と述べた。
舞台挨拶中には、原作者の鳥飼茜氏からのコメントも読み上げられ、「漫画で表現する以上の壮絶さが伴う撮影に対して原作者として十分な配慮ができなかったことを反省しています」と述べた。また、奈緒に対して「彼女はこの騒動で誰よりも先駆けて私に謝罪してくれました。彼女の演技は現実でも虚構でも誠実そのものでした」と感謝の意を示した。
最後に奈緒は、「原作に惚れ込み、この作品に出演することを決めました。現場での不十分な部分もありましたが、対等な関係で監督と話し合い、やり取りをしてきました。観客の皆さんには心配しないでいただきたいです」と呼びかけた。
映画『先生の白い嘘』は、鳥飼茜による同名原作の実写映画化で、高校教師・原美鈴が自らの性に対する矛盾した感情や性の格差に向き合う姿を描いている。映画は全国公開中である。