フィリピンの人気P-POPグループSB19が、1734年に作成された歴史的な「ムリリョ・ベラルデ地図」(Murillo-Velarde Map)のレプリカを受け取った。この地図は、彼らの2021年のヒット曲「What?」のミュージックビデオにも登場し、長年、フィリピンの国民的誇りや文化遺産を象徴してきたものだ。
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フィリピン国立図書館での授与式
10月29日、フィリピン国立図書館において「アジアジャーナリズム・コミュニケーション研究所(AIJC)」およびNOWグループの会長であるメル・ベラルデ氏が、この歴史的な地図のレプリカをSB19のメンバーであるパブロ、ジョシュ、ステル、ケン、ジャスティンに授与した。AIJCはフィリピンの文化やメディアの発展を促進するための研究機関であり、地域社会への影響を持つ活動を行っている。
ベラルデ氏はスピーチで、「SB19は単なるアーティスト以上の存在であり、P-POPの未来を切り拓く現代の航海者である」と称賛し、この地図がフィリピン人の誇りと忍耐力、創造力を世界に示す象徴であると述べた。
SB19からの感謝の意
SB19は、自身のSNSでこの栄誉に対する感謝の意を表明し、次のように述べた。「私たちはこの栄誉が持つ責任を深く理解しています。この栄誉は私たちだけのものではなく、フィリピン国内外にいるすべてのフィリピン人のためのものです」。彼らは、文化遺産を再発見しルーツを再確認するよう呼びかけ、「私たち全員がこの物語の一部となり、フィリピンの歴史を共有し続けましょう」とメッセージを発信した。
ムリリョ・ベラルデ地図の歴史的意義
「フィリピン地図の母」と称される1734年のムリリョ・ベラルデ地図は、フィリピン初の科学的地図であり、歴史的にも重要な資料とされている。この地図は1734年にスペインのイエズス会士ペドロ・ムリリョ・ベラルデにより作成され、フランシスコ・スアレスが作図し、ニコラス・デ・ラ・クルス・バガイが彫刻を担当した。世界デジタル図書館でもその重要性が認められている。
この地図は、2016年に国際仲裁裁判所でフィリピンが中国に対して西フィリピン海に関する領有権を主張した際、重要な証拠として使用され、フィリピンの領有権が国際的に認められる結果をもたらした。
若者大使としての役割
SB19は2021年にフィリピン文化芸術委員会(NCCA)の若者大使および「セントロ・リサール大使」に任命され、文化の普及と伝承に努めている。このような役割を通じて、彼らはフィリピンの文化的遺産を広め、次世代にその重要性を伝える責任を果たしている。