自民党と公明党は、いわゆる「年収103万円の壁」の見直しに向け、所得税の控除額を123万円に引き上げる方針を固めた。これは来年度の税制改正大綱(税制改正の原案)に明記される見通しである。
控除額の引き上げと具体的内容
両党が示した案では、基礎控除と給与所得控除をそれぞれ10万円ずつ引き上げ、合計で控除額を20万円増加させる。この措置は年末調整を通じて対応し、2025年からの実施を目指す。
さらに、大学生などを扶養する世帯への税負担を軽減するため、「特定扶養控除」の年収要件を現行の103万円から150万円に引き上げる方針も盛り込まれている。この内容は、国民民主党の要望や、先に行われた3党幹事長合意で示された「控除額178万円を目指す」方針に一定程度沿った形となっている。
国民民主党との協議
国民民主党の玉木雄一郎代表(役職停止中)は、この控除引き上げ案について「控除額を178万円まで引き上げれば年間約11万円の減税効果が期待できるが、今回の与党案では約1万円程度の減税にとどまり、不十分だ」と指摘した。また、控除額引き上げ案が具体化しないまま進む場合、来年度予算案に賛成することは難しいとの考えを示した。
自民・公明両党としては、少数与党となる中で予算案成立に向けた協力を得るため、引き続き国民民主党との協議を継続する方針である。
日本維新の会との関係構築
一方で、自民・公明両党は国民民主党以外の野党との協力関係構築にも意欲を見せている。日本維新の会との間では19日、教育分野の政策課題を議論する実務者会合を初めて開催する予定である。
維新の前原誠司共同代表は18日夜、高校授業料の無償化に関連し、「来年から所得制限なしで私立学校を含めた無償化が行われるなら、来年度予算案に賛成する可能性がある」と述べた。
予算案成立への狙い
自民・公明両党は、国民民主党を中心とした協議を進める一方で、他の野党との連携も模索することで、来年度予算案の成立に向けた支持基盤の拡大を目指しているという。教育無償化や税制改正といった重要政策を通じて、幅広い合意形成を進める動きが注目ポイントだ。