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令和7年度予算案、参議院で可決 夕方に衆議院で成立へ

令和7年度(2025年度)予算案は31日午前、参議院予算委員会で採決が行われ、自民党・公明党・日本維新の会の賛成多数で可決された。午後の参議院本会議でも可決され、衆議院へ回付される見通しであり、夕方には衆議院本会議で同意を得て成立する見込みである。

参議院での再修正

本予算案は、通常国会が召集された1月24日に政府が提出し、与野党協議を経て修正が加えられたうえで、3月4日に衆議院を通過した。国会で当初予算案を修正するのは平成8年以来29年ぶりであり、減額修正は昭和30年以来70年ぶりとなる。

しかし、参議院での審議の過程で石破茂首相が7日に高額療養費制度の自己負担額上限引き上げの全面凍結を表明したことを受け、自民・公明両党は参議院で再修正案を提出した。再修正案では、負担上限額の引き上げを見送り、必要な財源として予備費のうち105億円を充当する方針が示された。

参議院予算委員会での採決に先立ち行われた討論では、立憲民主党の奥村政佳氏が「再修正案には賛成だが、予算案は国民生活に寄り添った内容になっていない」と指摘。一方、公明党の上田勇氏は「政府案の修正は予算審議の新たなあり方として意義がある。予算案の早期成立と迅速な執行が最大の物価高対策だ」と述べた。

その後の採決では、再修正案が全会一致で可決され、予算案本体も自民・公明・維新の賛成多数で可決された。立憲民主党、日本共産党、国民民主党、れいわ新選組は反対した。

衆議院での成立へ

午後に参議院本会議で予算案の再修正が可決されると、法律の規定に基づき衆議院に送付される。衆議院本会議では夕方に採決が行われ、賛成多数で同意される見込みである。

参議院で再修正された予算案が衆議院の同意を得て成立するのは、現行憲法下で初めてのこととなる。

石破首相の動向

参議院予算委員会での可決後、石破首相は与党のみならず野党の理事らの席にも足を運び、握手を交わしたり言葉を交わしたりする姿が見られた。これは、少数与党である石破政権が野党とも一定の協力関係を築こうとする姿勢を示すものと受け止められる。

企業・団体献金の議論は継続へ

一方、企業・団体献金の扱いをめぐる議論は4月以降も継続する見通しである。自民党は透明性を高める法案を提出し、立憲民主党と維新の会は企業・労働組合からの寄付を全面禁止する法案を共同提出しているが、いずれも可決の見通しは立っていない。

公明党と国民民主党は規制強化を目的とする法案の概要をまとめているが、まだ国会には提出されていない。こうした状況を受け、自民党は現在審議中の法案を採決して一定の結論を出すことを求めているのに対し、立憲民主党は公明・国民民主の法案提出を待つべきとしている。特別委員会の理事会では31日に与野党の協議が行われる予定である。

今後、自民・公明・国民民主の3党は規制強化の方向で実務者協議を進めており、立憲民主党にも協議参加を呼びかけている。このため、4月以降も与野党の間で議論が続く見込みである。