トランプ大統領「日本は自国市場を開放すべき」 石破首相と電話会談で主張
【ワシントン発】アメリカのトランプ大統領は7日、石破茂首相との電話会談で、日本に対し自動車や農産品分野での市場開放を強く求めたことを明らかにした。会談後、両首脳は関税措置に関する協議を継続する方針で一致し、今後、日米双方が担当閣僚を指名して交渉を進めることとなった。
アメリカ側、不公平な貿易環境に不満
トランプ大統領は7日、ホワイトハウスで記者団に対し、「日本では我々の車が1台も売れていない。彼らは何百万台もの車をアメリカに輸出しているのに、われわれの輸出はゼロに近い」と述べ、日本の市場閉鎖的な姿勢に不満を示した。
また、農産品についても「日本は少しは買ってくれるが、本来買うべき量には達していない」と指摘。「日本は自国市場を開放しなければならない」と主張し、関税を一時停止するとの見方を明確に否定した。
さらに、SNSでも「彼らはアメリカの車を買わないのに、我々は何百万台もの日本車を買っている。すべて変えなければならない」と投稿。中国を念頭に置きつつも、日本との貿易の不均衡是正に強い姿勢を示した。
石破首相「関税措置の見直しを強く求める」
一方、石破首相も同日夜に記者団の取材に応じ、「日本が5年連続で世界最大の対米投資国である中で、一方的な関税措置は日本企業の投資意欲を損なう」と懸念を表明した。
首相は、日米双方にとって利益となる協力関係の構築を模索すべきだとし、「アメリカに対し、関税措置の見直しを強く求めていく」と述べた。また、国内企業や国民の不安に対処するため、政府一丸となって対応を進める考えを強調した。
閣僚級協議の準備進む 外務・経産幹部も訪米
電話会談を受け、アメリカのベッセント財務長官は、自身とUSTR(通商代表部)のグリア代表が日本側の担当閣僚と協議を開始すると発表した。SNS上で「日本は最も緊密な同盟国の一つであり続けている」としたうえで、関税や非関税障壁、補助金などをめぐる建設的な議論を歓迎する意向を示した。
さらに、FOXビジネスネットワークの番組では「日本は非常に早く交渉に手を挙げた。優先的に交渉が進むだろう」と述べ、他国との協議に比べて早期に進展する可能性を示唆した。
これを受けて、日本政府も対応を本格化。外務省の赤堀外務審議官と経済産業省の松尾経産審議官が訪米し、アメリカ政府高官と協議を開始。赤堀氏はワシントン到着時に「首脳会談のフォローアップと閣僚級協議の準備を進める」と述べた。
総合対策本部が始動へ
政府は8日、すべての閣僚をメンバーとする総合対策本部の初会合を開催する予定。各省庁でアメリカ側との交渉材料を洗い出すとともに、国内企業への支援策など必要な対策を検討する。政府・与党内からは「首脳間で早期に接触し、協議に道筋をつけた」と評価する声がある一方、「解決の糸口はまだ見えていない」との慎重な見方も出ている。