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任期満了に伴う富山市長選挙が2025年4月13日に告示され、現職の藤井裕久氏(63)と新人の染谷明子氏(47)の2人が立候補を届け出た。投開票は4月20日に行われる。

現職・藤井氏「災害復興と人づくりに全力」

藤井裕久氏は、元富山県議会議員で、ケーブルテレビ局の社長を経て現職市長を1期務めた。今回、2期目を目指す。政党推薦は自民、立憲民主、公明、国民の4党から受けている。

藤井氏は告示日の第一声で、コロナ禍や2023年の富山市内の水害、さらには2024年元日の能登半島地震を振り返り、「復旧・復興に全力を尽くす」と述べた。また、「災害に強いまちづくり」を今後の重点課題に挙げた。

さらに、不登校児童への支援、地域の防災力向上、人材育成にも取り組むと表明。「ふるさとに根を張った子どもを育てたい」と述べ、教育・地域連携の強化を訴えた。

まちづくりでは、中心市街地と郊外地域のバランスを重視し、「コンパクトシティとスマートシティの融合」を目指す方針。医薬品や製造業などの産業集積を推進し、若者や女性に選ばれる都市を目指すとしている。

新人・染谷氏「誰もが大切にされるまちに」

染谷明子氏は、医療生協で組織課長を務める理学療法士で、「市民が主人公の富山市政をつくる会」の常任幹事。今回が初めての市長選挑戦で、共産党の推薦を受ける。

染谷氏は立候補の動機について、「誰もがかけがえのない存在として大切にされるまちを実現したい」と述べ、医療・福祉の現場での経験を生かすとした。

具体的な政策としては、子育て支援や教育費負担の軽減を挙げている。中学校までの給食費無償化や、返済不要の給付型奨学金制度の充実、3歳未満児の保育料半額化などを掲げる。また、物価高騰の中で「税金の使い方を見直せば、暮らしに直結する施策は可能」として、財源の再配分を訴えた。

有権者に問われる選択

今回の市長選挙は、復興と経済成長を掲げる現職と、生活重視の新しいまちづくりを掲げる新人による一騎打ちとなっている。

藤井氏は政党横断的な支援を受ける一方、染谷氏は草の根の市民運動を背景に立候補しており、それぞれ支持層が異なる。有権者は、どのような富山市の未来像を描くのかが問われる選挙となる。

投票は4月20日(日)に行われ、即日開票される予定。