ワシントンで初の対面会談
加藤勝信財務相は現地時間4月24日、ワシントンにてベッセント米財務長官と初の対面会談を行った。会談は午後3時から約50分にわたって行われ、終了後に加藤氏が記者団に対応した。
為替に関する具体的議論はなし 国際合意を再確認
今回の会談では、為替水準の目標設定や管理の枠組みといった具体的な議論は行われなかったと加藤氏は説明した。為替レートは市場で決定されるべきであり、過度な変動や無秩序な動きが経済・金融の安定に悪影響を与えるとの国際的な認識を、改めて日米双方で確認したとしている。
加藤氏は「為替水準の目標や、それに対する管理の枠組みなど、そういった話はまったくなかった」と述べ、今後も「緊密かつ建設的に協議を続けていくことで一致した」と強調した。
米側の要求には言及せずも、通貨政策への疑念は残る
為替をめぐり、アメリカ側から日本に対して何らかの要求があったかとの質問に対して、加藤氏は「やり取りの中身について具体的なコメントは控える」と述べた。ただし、米側から為替水準の目標に関する発言はなかったと明らかにしている。
会談に先立ち、ベッセント財務長官はロイターの取材に対し、通貨目標を求めない方針を示し、国際合意を尊重する姿勢を強調していた。一方、トランプ大統領は23日に「日本は常に円安を求めている」と発言しており、ドル高に対する不満と為替是正への圧力をにじませている。
関税措置にも遺憾の意 日米貿易の懸念を伝達
会談では為替以外にも通商問題が取り上げられた。加藤氏は、米国の一連の関税措置について「極めて遺憾」との立場を表明し、日米貿易協定との整合性に懸念があることを伝えた。また、関税措置の見直しを強く求めたと説明している。
このほか、日本企業の賃上げや物価動向など、経済全体の状況についても意見交換が行われた。加藤氏は会談後、「生産的な議論を行った」と総括した。
市場ではなお警戒感も
今回の会談は大きな波乱なく終了したものの、市場関係者の間では警戒感も根強い。ニッセイ基礎研究所の上野剛志・主席エコノミストは「今回の協議は無難に通過したが、来週予定されている関税協議が不調に終われば、再び矛先が為替に向かう懸念は拭えない」と指摘している。