仙台市長選挙が8月3日に投開票される。立候補した4人の候補者(届け出順)の経歴と政策を紹介する。仙台市では新たな病院やマンションが立ち並び、都市の発展が続く中、候補者たちはそれぞれのビジョンを掲げ、109万市民の支持を競う。
郡和子(68歳、元衆院議員)
アナウンサー出身の郡和子氏は、冤罪事件「松山事件」の取材を通じて社会の不条理を痛感し、政治家を志した。2005年の衆院選で初当選。2017年から仙台市長を務め、2期8年にわたりコロナ対応や経済回復、まちの活性化に尽力した。待機児童ゼロを4年連続達成し、大規模イベントの開催や国際会議での発信を通じて仙台の存在感を高めた実績を強調する。
3期目を目指し、18歳までの医療費無償化など子育て支援の拡充を公約に掲げる。県主導の4病院再編構想では知事と意見が対立することもあるが、「市民を幸せに導くのが私の仕事」と明言。異なる意見ははっきり伝える姿勢を貫く。
野田紀子(76歳、地域FM局社長)
兵庫県姫路市出身の野田紀子氏は、31歳で仙台に移り、電気工事会社を設立。59歳でエフエムたいはくの社長に就任し、零細企業を経営してきた経験から「行政は赤字を理由に必要な事業を削減すべきでない」と主張する。当初は郡氏を支持していたが、「外向きのまちづくり」に疑問を抱き、立候補を決意。給食費無償化や区議会設置を公約に掲げ、地元密着の市政を目指す。
選挙のイメージカラーは「緑」。秋保地区の太陽光発電計画に反対し、自然を重視する姿勢を示す。太平洋戦争を経験した父から平和の尊さを学び、「平和で平等なまちづくり」を目指す。
菅原武大(60歳、元航空自衛官)
航空自衛隊で30年間、警戒管制レーダーの整備に従事した菅原武大氏は、平和維持の使命感を胸に働いてきた。退官後は仙台で24時間営業の小売店に勤務。父の介護を経験し、介護と仕事の両立の難しさを実感したことが立候補のきっかけとなった。
子育て支援を最優先公約とし、虐待を受けた子ども向けの24時間運営施設や学校のいじめ対策を強化する計画を掲げる。「子どもたちが誇れる日本にしたい」と話し、介護支援の充実も訴える。
松本剛(48歳、元住宅設備社員)
中学生と高校生の2人の子を持つ松本剛氏は、約20年勤めた住宅設備会社を6月に退社し、立候補した。前回選挙で「自分の考えに合う候補者がいない」と感じ、少子化や子育て環境の課題に危機感を抱いたことが出馬の動機。屋内遊び場の不足など、市民目線での市政の課題を指摘する。
物価高対策や子育て支援の拡充を急ぐべきだとし、350億円規模の音楽ホールや震災メモリアル拠点の整備には疑問を呈する。伊藤優太市議と連携し、SNSを活用しながら郡市政への批判を展開する。
選挙の展望は
4候補はそれぞれ異なる経歴と視点を持ち、子育て支援や経済対策、平和なまちづくりなど多様な公約を掲げる。仙台市民は8月3日の投票で、都市の未来を託すリーダーを選ぶ。