8月7日から発動、対象国の半数以上が15%適用に
【ワシントン発】トランプ米大統領は7月31日、約70カ国・地域に対して新たな相互関税の税率を設定する大統領令に署名した。発効は8月7日で、日本には現行の10%から15%への引き上げが適用される。
新関税率は10〜41%の範囲で設定され、最も高い税率はシリアの41%、最も低いのは英国などの10%であった。日本を含む多くの国は15%に設定され、対象国・地域の半数以上が同水準の関税となる。
大統領令では、低関税国を経由して米国に輸出する「迂回輸出」への対策も盛り込まれた。迂回が確認された場合、関税率を一律40%に引き上げ、罰金も課すとされている。
EUには特別措置、日本には未適用の可能性
欧州連合(EU)に対しては特例措置が設けられた。既存関税が15%未満の製品には一律15%を適用し、それ以上のものは従来の関税率が適用される。
日本政府は、7月22日の日米合意でこのEUと同様の仕組みが適用されるとしていたが、今回発表された大統領令には日本への適用に関する明記はなかった。
また、自動車関税については法的根拠が異なるため、今回の措置の対象外とされている。日米間で合意された25%から15%への引き下げについては、別途大統領令が発出される見通しだ。
中国は対象外、台湾は20%に引き下げ
トランプ政権は、4月に相互関税を発動した後、7月までの90日間の交渉猶予を設定。さらに8月1日まで交渉期間を延長し、各国には暫定的に10%の基本税率を適用していた。
この間、英国、ベトナム、インドネシア、フィリピン、日本、EU、韓国などと合意を結んだが、中国、インド、台湾、カナダ、メキシコとは未合意である。
中国は7月29日にスウェーデンで行われた閣僚級協議において、新税率の適用をさらに90日間停止することで合意されたため、今回は対象外となった。
台湾については、4月時点での32%から20%へと引き下げられた。一方、カナダとメキシコは今回の相互関税の対象外であるが、フェンタニル対策を理由とする追加関税がかけられており、カナダに対しては25%から35%への引き上げが発表された。
ホワイトハウス高官は、今後も追加的な合意が見込まれるとしているが、インドとの交渉については当面困難との見方を示している。
