フィリピンのガールズグループBINIのメンバー、グウェン・アプリ(Gwen Apuli)が、父の死後に家族が直面した経済的苦難について語った。グウェンはオギー・ディアス(Ogie Diaz)のYouTubeインタビューで、4歳の時に父を心臓発作で亡くした衝撃を振り返った。「父の死は本当に突然でした。仕事から帰って寝たきりで、目覚めることはありませんでした」と述べた。
母はシングルマザーとして5人の子供を育てることになり、経済的困窮に直面した。「母は父が生前働かせなかったため、職歴がなく、安定した仕事を見つけるのが難しかった。臨時の仕事で生計を立てていたが、兄弟が多いので大変だった」とグウェンは語る。家族は父の年金に頼り、母は商品販売で収入を得ようとしたが、地方では売れ残りが借金につながることもあり、損失を出すこともあったという。
借金と家族の試練
父の死後、家族はさらなる困難に見舞われた。グウェンは「父が亡くなった後、次兄が虫垂炎になり、別の兄は若くして父親になった。母は長兄を大学卒業まで支えたが、三番目の兄は経済的理由で学業を中断し働かざるを得なかった」と明かした。これにより家族は借金に追われ、「以前は借金に深く埋もれていた」と語った。
グウェン自身も家族を支えるため、学校でスナックを売るなどして家計を助けた。「少しでも出費を減らしたくて、どんな小さなことでもやった」と振り返る。貧困の中で育った経験は、彼女の成功への強い動機となった。「家の門は壊れ、屋根は雨漏りし、母は毎晩借金のリストを作りながら泣いていた。そんな生活から抜け出したかった」と、グウェンは当時の苦しみを語った。
PBB参加とBINIでの成功
グウェンは2019年にリアリティ番組「Pinoy Big Brother: Otso」に参加し、その後ABS-CBNのスター・ハント・アカデミーでトレーニングを受けた。2020年11月にBINIのメンバーとしてプレデビューシングル「Da Coconut Nut」をリリースし、2021年6月に「Born to Win」で正式デビューした。
BINIの成功により、グウェンは家族の借金を返済し、生活を安定させることができた。「家族を支え、自分自身も自立できた。借金はすべて返済した」とインタビューで明かし、努力が報われた喜びを語った。現在、彼女はビコールに不動産を購入し、マニラ首都圏にも家と土地を確保するなど、家族の将来を確実にしている。
夢への原動力と今後の展望
グウェンは貧困を乗り越えた経験が、自身のキャリアを追求する原動力だったと強調する。PBBでのインタビューでも、家の老朽化や母の苦労を目の当たりにしたことが、成功への強い意志につながったと述べた。 現在、BINIは「国民のガールズグループ」としてフィリピンで広く支持され、SpotifyやBillboard Philippine Songsチャートで記録を樹立している。
グウェンはBINIのメンバーとして、音楽を通じてフィリピンの若者に希望を与える存在となっている。彼女のストーリーは、逆境を乗り越え夢を追い続ける姿勢が多くのファンに共感を呼んでいる。