ミュージカル「エリザベート」製作発表会見 望海風斗・明日海りおがエリザベート役にダブルキャストで挑む

ウィーン発の人気ミュージカル「エリザベート」の2025年公演に向けた製作発表会見が、9月18日に東京都内で開催された。タイトルロールのエリザベート役をダブルキャストで務める元宝塚歌劇団トップスターの望海風斗と明日海りおが初登壇。同期生である2人は、喜びを「嘘じゃないか」「信じられない」と表現した。トート役の古川雄大、井上芳雄、山崎育三郎、演出・訳詞の小池修一郎らも出席し、新ビジュアルの公開や稽古の様子を語った。東宝版初演から25周年を迎える本公演は、10月10日から全国4都市で上演される。

作品概要

「エリザベート」は、脚本・歌詞をミヒャエル・クンツェ、音楽・編曲をシルヴェスター・リーヴァイが手がけ、1992年にオーストリア・ウィーンで初演されたミュージカル。19世紀後半のオーストリア=ハンガリー帝国の皇后エリザベート(シシィ)の生涯を描き、愛と死、権力と自由のテーマを織り交ぜる。日本では1996年に宝塚歌劇団が初演し、2000年の東宝版初演以降、観客を魅了し続けている。2025年は東宝版25周年で、Netflixの「皇妃エリザベート」や映画「エリザベート1878」などの影響を受け、よりリアルでシリアスな側面を強調した演出が施される。

キャスト紹介

エリザベート役は望海風斗と明日海りおのダブルキャスト。望海は元雪組トップスターで、退団後『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』などで主演を務め、読売演劇大賞優秀女優賞を受賞。明日海は元花組トップスターで、『王様と私』などに出演。2人は宝塚同期で、初のエリザベート役に意気込む。トート役は古川雄大(全公演)、井上芳雄(東京公演のみ)、山崎育三郎(北海道・大阪・福岡公演のみ)のトリプルキャスト。他の主なキャストは以下の通り。

役名キャスト備考
フランツ・ヨーゼフ田代万里生/佐藤隆紀Wキャスト
ルドルフ伊藤あさひ/中桐聖弥Wキャスト
ルドヴィカ/マダムヴォルフ未来優希
ゾフィー涼風真世/香寿たつきWキャスト
ルイジ・ルキーニ尾上松也/黒羽麻璃央Wキャスト

演出・訳詞は小池修一郎が担当。

会見ハイライト

会見では新ビジュアルのパネルが公開され、望海は「初めて皆様の目に触れたということでドキドキしていますが、いよいよ始まるんだと実感しています」と語った。明日海は「皆さんの中にすでに“こういうもの”というイメージがあると思いますので、それに近づけるよう相談しながら作ったビジュアルです」と説明。小池は作品の進化について、「時代に呼応して新たな側面が表れる。個人が社会や世界とどう向かい合うかというテーマがよく見えてくる」と述べた。

主演の2人は稽古について、望海が「ナンバーも場面もたくさんあります。特に2幕はエリザベートも年を取って、間にあるものを埋める作業中です」と明かし、明日海は「望海と私が交互に、ジャンケンで先にやるか決めています。オリジナリティをどう出すか模索しています」と笑顔で語った。古川は「トート役3度目ですが難しく、不安はあります。今日は人生で初めて『愛と死の輪舞』を寝言で歌っていました」とエピソードを披露し、笑いを誘った。井上は2000年初演時のルドルフ役を振り返り、「25年前にも出ているのは僕だけで、みんなが丁寧に接してくれるなと思いました」とユーモアを交え、山崎は「やりきれていない気持ちがあったので、30代最後の年で“サンキュー!”の気持ちで出し切りたい」と意気込みを述べた。

山崎は稽古場での感動を「『私だけに』の場面で、全スタッフとキャストが2人に集中し、泣けました」と語り、古川と井上も主演2人の刺激を称賛。食事エピソードでは、山崎が古川との仲良しぶりを明かし、井上が「支払いは僕かな?」と突っ込み、会見場を和ませた。

公演スケジュール

公演は以下の通り。東京公演のチケット一般発売は2025年9月13日から。

公演地会場日程
東京東急シアターオーブ2025/10/10~11/29
北海道札幌文化芸術劇場 hitaru2025/12/9~12/18
大阪梅田芸術劇場メインホール2025/12/29~2026/1/10
福岡博多座2026/1/19~1/31

井上は東京公演のみ、山崎は北海道・大阪・福岡公演のみ出演。