野党第1党の存在感示せず 与党との直接協議に活路

立憲民主党の野田代表は9月23日で就任1年を迎える。衆参両院で与党を過半数割れに追い込んだ実績はあるものの、主導して実現した政策は限られ、野党第1党としての存在感を十分に示せていない。野田氏は今後、野党連携に加えて与党との直接協議を重視し、政策実行力のアピールに活路を見いだそうとしているが、党勢回復に結びつくかは不透明である。

就任後の成果と課題

野田氏は2024年9月、首相経験者としての安定感を期待され代表に選出された。直後の衆院選では公示前から50議席増を果たし、与党を過半数割れに追い込んだ。野党連携によって政策活動費を全廃する法案を成立させ、高額療養費制度の自己負担上限額引き上げも阻止するなど一定の成果を残した。

一方で、その後は野党間の足並みをそろえる調整力を欠き、存在感が薄れた。今年7月の参院選では議席数が横ばいにとどまり、比例選で国民民主党や参政党を下回り「事実上の敗北」と評価された。執行部の刷新に追い込まれたものの、党内の不満は収まっていない。9月の世論調査では支持率が5%と、野党第3位に低迷している。

与党との協議路線へ転換

窮状打開に向け、野田氏は与党との直接協議に軸足を移している。9月19日には石破首相や公明党の斉藤代表と会談し、立民が参院選で掲げた「給付付き税額控除」の制度設計に向けた協議体の設置で合意した。ただし党内には「課題が多く時間を要する」との見方も強い。さらに石破首相の退陣が見込まれる中、自民党の新総裁によって協議の行方が左右される可能性がある。

野党連携とのジレンマ

立民が与党との協議を優先すれば、他の野党との距離が広がる懸念もある。首相指名選挙や内閣不信任決議案では野党の結束が不可欠であり、野田氏は「多党化の中で成果を出すのは本当に難しい」と周囲に語っている。与党との協議路線が党勢回復につながるかどうか、野田執行部は正念場を迎えている。