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政府が半導体など重要物資工場の一時取得案を提示 - 緊急時の供給体制を強化へ

政府は、半導体や蓄電池、抗菌薬など国民生活や社会経済に不可欠な特定重要物資について、緊急時に国が民間企業の工場や設備を一時的に取得し、生産を民間に委託する仕組みの導入を検討している。この案は2024年12月24日に開かれた有識者会議で示されたもので、2025年の早い時期の閣議決定を目指して議論が進められる。

提案の背景と新制度の概要

経済安全保障推進法では、半導体や蓄電池など12の物資を特定重要物資として指定し、国外依存の解消と安定供給のために財政支援を行っている。政府の新たな提案では、感染症の流行や他国による輸出規制といった緊急事態に備え、特定重要物資の一部を「特別特定重要物資」に指定することが盛り込まれている。これにより、国が製造企業の工場を買い取り、生産能力の維持や技術流出の防止を図る。

例えば、需要の急増が見込まれる場合でも、企業が将来的な需要減少を見越して設備投資に慎重になることがあるが、国が設備を取得することで増産体制を迅速に整えることが可能となる。

新制度が目指す効果とは

  1. 供給網の維持: 原材料の輸入停止や輸出規制などの事態でも、工場の稼働を維持し、供給網を確保する。
  2. 技術流出の防止: 他国による日本企業の買収を防ぎ、国内の技術を保全する。
  3. 生産能力の維持: 採算性を度外視した生産体制を構築し、社会経済の混乱を防ぐ。

サプライチェーンへの影響と課題

この提案により、サプライチェーンへの国の介入が強まることから、発動の条件や運用方法について慎重な議論が求められる。政府は素案で、国による買収が「供給網への介入強度が特に高い」とし、「抑制的に発動する必要がある」との方針を示した。

一方で、新制度がもたらす効果として、感染拡大や輸入停止などの緊急事態に迅速に対応できる仕組みの確立が期待されている。

医療分野への影響

同日の会議では、医療分野におけるデジタル化の進展に伴い、病院や医療システムへのサイバー攻撃を防ぐための新たな制度も議論された。これにより、国が事業者の設備導入を事前審査する制度の対象に医療分野を追加する方向で検討が進められている。この制度は2025年夏ごろまでに結論がまとめられる見通しである。

今後の流れは

政府は有識者会議での議論を踏まえ、2025年までに具体的な方針を確定し、新制度の導入を目指す。緊急時の対応能力を強化することで、社会経済の安定と国民生活の安全を確保するための取り組みが加速している。